2015年8月17日月曜日

吃音者に対する職場での会社での合理的配慮とはなにか? 吃音者を採用する場合はどうしたらよい?吃音者採用雇用事例について

この投稿はこちらに継承しました 
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/09/blog-post.html


◆吃音者に対する企業・会社・職場での合理的配慮について考えてみる。
まず吃音者を採用する側が吃音者雇用のスタンスを明確にしなければならない。
採用する企業・各団体が内部でよく話し合うことが重要である。

1.第一に「どもる権利の行使を認めるか」
2.吃音者であることが判明すれば「身体障害者手帳」または「精神障害者保健福祉手帳」を持っていなければ採用しないか?それとも一般枠での就労を認めるか?
3.吃音者は俗に言われる発達障害を併発している場合があることを理解しているか?


1.どもる権利とは吃音者が吃ることを認めることである。
職場で吃音者が吃ること。これは読者の所属する企業・団体では認められるだろうか?
筆者が現実に就職活動で指摘されたことはこれである。
「キミね。そんなに言葉話せないでどうするの?ホウレンソウ!報告連絡相談はできるの?普通の人がさ、15秒、30秒で話し終わるにキミは何分かかった?えっ?説明してよ」

確かにその通りである。ぐうの音も出ない。
吃音のない健常者であれば、サクサクとホウレンソウは済む。会社内の会議でも定刻に始まって、定刻に終わることができる。仮に健常者が15秒30秒で終わる作業を毎回毎回1分から5分もかかってしまえば、月換算、年換算で通して何分時間を無駄にしているか?ということである。また、それを聞いている相手も吃音者が言い終わるまで待たないといけないのでその分時間を奪われる訳である。

話を変えよう。
2015年現在、俗に言われる発達障害者を雇用する場合。企業・各団体側は『障害特性まるだし、障害者だから仕方ないだろ』という価値観の発達障害者は雇用しないとのことである。慈善団体ではないので当たり前といえば当たり前である。

では俗に言われる発達障害者は何が問題かと言うと、コミュニケーション能力が弱い苦手、ルールに厳格、同時並行作業が苦手、勤怠管理ができない、遅刻や寝坊があるかもしれない、物を忘れてしまう、予定を忘れてしまう、うるさい所が苦手などなどがあるかもしれない。

しかし訓練された、自己分析ができている発達障害者は、服薬をすること、手帳やリマインダーを使うこと、物を忘れないように工夫すること、コミュニケーションの時はボイスレコーダーで録音して後で聞き直して確認する、上司からの指示を視覚と聴覚両方でダブルチェックする、病院に定期的に通院すること、遅刻しそうであれば他の人より30分早く行動する、わからなければ自分だけで思考しないですぐに人に質問する、うるさい所ではノイズキャンセリングヘッドホンや防音イヤーマフを使う、などなどが考えられる。

要点は、「発達障害があるけど、ありとあらゆる予防方法や道具などを使い、発達障害特性が弱くなるように、仕事に影響ができるだけでないようにしている」ことである。ここまでやって『発達障害があるけど、ここまで頑張っているから、御社で働かせてください』となるわけである。企業・各団体側も『ここまで頑張っているなら、うちで雇用してもいいかな』と両者の歩み寄りを見ることができる。

では吃音者はどうだろう?
吃音者の中には考え方の違いがあり『堂々と吃れ。吃音者で何が悪い!!』という考え、『吃音があるけど上手く発話できるように頑張っている』という考えの人が存在する。またさらに細分化すると色々と派閥抗争があるがそれは別記事を確認してほしい。

◆別記事
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/blog-post.html

要点は俗に言われる発達障害者であれば、出来る限り頑張って発達障害特性と戦いつつ仕事に取り組むという姿勢である。しかし吃音者において『堂々と吃れ、吃音者で何が悪い!!』という考えあればそれは企業の価値観に合わないのではないかと筆者は推測する。堂々と吃るよりも、出来る限り頑張っている吃音者の方を雇用したいのではないかと思う。

結論
どもる権利を認めるか認めないか?
各企業・各団体次第である。まずはこれを決定しなければならない。
例えば重度吃音者であれば、出来る限り頑張って発話するよりも筆談やチャットで交流したほうが早いであろう。


2.吃音者であることが判明すれば「身体障害者手帳」または「精神障害者保健福祉手帳」を持っていなければ絶対に採用しないのか?吃音があっても人柄採用で一般枠で働いてもらうのか?

これも事前に各企業・各団体内部で決定しておかないとならない重要な問題である。
2015年現在、吃音者は発達障害者支援法に含まれている発達障害である。
WHOのICD-10という疾病及び関連保健問題の国際統計分類が法的根拠になっている。
2013年に公開されたアメリカ精神医学会のDSM-5という精神障害の診断と統計マニュアルでは、もっと踏み込んで吃音は発達障害であると分類した。

重度吃音者、家族などしか発話内容が理解できないのであれば身体障害者手帳の対象となる。
それ以外の軽度中度の吃音者は精神障害者保健福祉手帳の対象となる。

身体と精神では手帳の有効期限があるので気をつけないとならない。精神では二年更新制度をとっているので、手帳の更新し忘れリスクが考えられる。

さて、読者の所属する各企業・各団体は吃音者をどのように位置づけるか?
発達障害者支援法に定義される障害であるから、そもそも障害者枠でなければ採用しない、障害者手帳を持っていなければ採用しないという立場をとるか。

それとも、吃音があっても、読者の職場でそんなに話すことはないし、吃るくらいでいちいち評価しない。一般枠で働いてもらうという立場をとるか?

2018年より、障害者の法定雇用率計算式が変化する、みなし雇用とされていた精神障害者が計算式に加わる。事実上精神障害者の雇用義務付とも取られる。しかし、従来通り身体障害者と知的障害者のみの数字で法定雇用率を突破できるなら問題ない。

企業の本音としては吃音が軽度であっても、一般人と同じ仕事量、出世コースでも問題ないが、せっかく法定雇用率を満たせるなら障害者手帳を持っていてほしいというところであろう。そもそも現在の各企業・各団体は『社内障害者が1番便利だ』と思っているはずである。社内にもともといる社員が障害者になってくれるのが正直メリットがあるという。

結論
各企業・各団体は吃音者をどのような視点で捉えるかが重要である。
吃音者の中には「吃音は障害者じゃない」という価値観の人間もいる。
だが、雇用する側の都合もあるので最初の段階で立場を決めておくべきである。


3.吃音者は俗に言われる発達障害を併発している場合があることを理解しているか?
これは重要な要素である。
ウィキペディアから引用
他の発達障害との併発[編集]
近年、一般的に周知されている発達障害である(自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、ADHD、学習障害)などと吃音が併発する場合も存在すると報告が出ている。てんかん、精神発達遅滞も併存する場合もあるとのこと。純粋吃音者は49%であり、何らかのその他の発達の症状が51%に見られるという。[34] 菊池 良和 『吃音のことがよくわかる本(健康ライブラリー イラスト版)』 講談社、2015年、26頁。ISBN 978-4-06-259798-2。
また、ADHD改善薬『コンサータ』を販売するヤンセンファーマ株式会社がウェブ上に公開する、「薬剤師のみなさまへ 適正使用のための手引き」にもADHDの併存障害として吃音を明記している。吃音の子どもを持つ保護者・養育者は吃音以外に気になる事があれば各都道府県の発達障害者支援センターに相談すべき事案である。[35]
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%83%E9%9F%B3%E7%97%87#.E4.BB.96.E3.81.AE.E7.99.BA.E9.81.94.E9.9A.9C.E5.AE.B3.E3.81.A8.E3.81.AE.E4.BD.B5.E7.99.BA

吃音ドクターとして有名な菊池 良和(九州大学病院耳鼻咽喉科医師、医学博士)氏は
書籍で紹介している。他の発達障害との併発である。引用している英語本文はこちら(http://archpedi.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=380659

さらにADHD改善薬コンサータを販売するヤンセンファーマ社もADHDと吃音が併発すると指摘しているのである。

これを読者はどう捉えるだろうか?
吃音者は吃音だけかと勘違いしていただろうか?
純粋吃音者は49%で、その他の何かが併発するのが51%だというのである。
これは数字としてはかなり大きい。
俗に言われる発達障害者と抱える発達障害特性にプラスして吃音という発話の障害が加わるわけである。

各企業・各団体の発達障害者雇用を担当している人は、こんな経験があるかもしれない。

『発達障害者のXXさんって吃音もあるじゃん!』

そうなのである。驚愕すべきことであるが、実は俗に言われる発達障害者が吃音を併発しているのである。ということはその逆で吃音者も俗に言われる発達障害を持っている場合があるのである。
逆に考えれば、他の発達障害者と同じような配慮でもよいということである。

しかし問題なのは純粋吃音者である。
純粋吃音者は本当に発話のみに障害があるため、障害者枠で働くことや出世コースやキャリアパスがない環境なんて信じられない訳である。これも吃音が障害者ではないと考えてしまう1つの要員であるが……。

結論
吃音者は純粋吃音者が49%
その他の発達障害やてんかんや精神遅滞がある場合が51%
これは絶対に覚えておかないとならないであろう。



【旧記事】

まず最初の流れとして企業の人事採用担当の方が、吃音をカミングアウトしてくる吃音者に接触することになると思う。吃音を隠している吃音者の場合は不明である。

企業側として、その吃音者に取ることができる行動は3つである。
1.吃音があっても我が社は気にしないよ。一般雇用で働いてください。
2.吃音があるということは障害者手帳は持っていますか? 障害者雇用で働いてください。
3.吃音があるということは障害者手帳は持っていますか? 一般雇用と同じ内容で働いてください。出世コースもキャリアパスもありますよ。

※ちなみに吃音症は2015年現在、発達障害と法律で定義されているので精神障害者保健福祉手帳を取得することができます。2018年より精神障害者保健福祉手帳所持者の雇用義務化も開始とのことです。


1はとても先進的な素晴らしい企業でないかと思います。
吃音があっても、気にしないよ。吃る人がいてもいいではないか?
という考えですね。社内でも社外でも、●●さんは吃音者だから、会話のとき発話のときにちょっと変だなって思われるかもしれないけど、みんなよろしくね。お客様、取引先にも説明してくれそうです。

2は障害者手帳を持っているので法定雇用率を満たしつつ、雇用はするけど障害者枠で働いてもらう。

3は障害者手帳を持っているので、障害者の法定雇用率を満たしつつ、吃音者にも一般枠と同じ条件、フィールドで活躍してもらう。

ここらへん3つのパターンだと思います。



実は吃音者も、吃音があるからといって、吃音は障害者じゃない!! と思っている人もいるので障害者枠の仕事はしたくない!! 健常者と同じ仕事、同様に出世できるように責任ある仕事をしたいという考えの方もいます。

※ここは吃音者の対立の歴史があります………。


かといって、雇用する権利があるのは人事採用担当者、企業側であるので、「私は吃音があるけど、一生懸命働きます!!!」という人を採用するか? 採用しないか? これは雇用側の考えに左右されます。障害者手帳を持っている吃音者を雇用するのか。持っていなければ雇用しないのか。すべては自由であるのです。



◆吃音者への合理的配慮とは?

さて、本題の吃音者への合理的配慮を考えてみます。
吃音者は社会人として企業で働くにあたって何が大変なのか?
話すことです。話すことに障害があります。
吃音者の吃音の程度によります。
自分の名前が発話できない。自分の所属する会社名が発話できない。
発話できたとしても時間がかかってしまう。
発話できたとしても、「社会のルール・会社のルール」に従った順番のように、マニュアルに
書いてあるように発話できないことがあります。
言いやすい言葉を発話するが故に、敬語が使えないかもしれません。
報告連絡相談というホウレンソウという行為が健常者であれば、20秒で終わる所を、吃音者ならば1分ほど時間が経過してしまう場合があります。
相手と話すときに吃ってしまうために、口から唾液が相手に飛んでしまうこともあります。(マスクをすれば大丈夫です。)
話すときに吃ってしまうために、相手の目をみて話せないこともあります。
話すときに口をとがらせてしまうことがあります。
話すときに身体の他の部分を動かしながらタイミングをとることがあります。腕や足など。


・さて、企業の皆さんは吃音者を雇用するのは難しいかな? と思ってしまうでしょうか?
私はそれは違うと思います。
一番の合理的配慮は「吃音という吃ってしまう人がいる。でもそれだけだ」これでいいのではないかと思います。会社内でもお客様や取引先にも「吃ってしまう人なんだ」と認識してもらうこと。これが大切で大事なことだと思います。吃る人が吃ってしまっていても、別に気にしなくていいのです。上手く言葉が言えないこと、敬語が使えなくて失礼な発言をしてしまっても怒らないでほしいのです。
そんなことが合理的配慮ではないかと考えます。

吃音者は接客業務や営業の仕事ができないのではないか。と考える人もいるかもしれません。でもそれも、最初のファーストコンタクトのときに「私は吃音者です」と説明すること、会社であれば上司の方が「部下は吃音なのだが、ふざけているわけでもないし、仕事はちゃんとやるから、発話に関しては何も言わないでください。仕事で評価してください」説明してもらえれば、それはとても心強いことです。接客業務でも「当店には吃音者がいます。上手く話せないことがあっても怒らないでください。」と告知してしまってもよいのです。


※吃音者個々人の主義主張によっては「私は相手に先に自分の言いたいことを言われたくない!」
「私は発話が苦しいとき大変なとき、●●のことを先に相手に推測して言ってほしい」という場合もあるので詳しくは当事者と面談して決めてください。

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