2016年4月25日月曜日

ドラマ ラヴソングは医療従事者と患者の「恋愛」まで描くのか?

過去記事で掲載したのですが、ラヴソングについても転移の指摘があったので紹介します。

●<「Dr.倫太郎」は治療倫理より愛が勝つ?>堺雅人・精神分析家は蒼井優・患者との一線を越えるか
http://news.mynavi.jp/news/2015/06/12/193/

というニュースがあります。
このニュースを書いた人は高橋秀樹さん[放送作家/日本放送作家協会・常務理事/社会臨床学会会員]という方です。

この高橋秀樹さんが、今回のフジテレビ月曜夜9時ドラマラヴソングにも恋愛転移のことについて指摘をしています。ブログ主もこれはラヴソングというドラマの展開でとても気になっていることです。

高橋秀樹さんがラヴソングについて書いた記事
●<月9「ラヴソング」>なぜ臨床心理士・福山雅治は恋に落ちてはいけないのか
http://mediagong.jp/?p=16662


高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事/日本社会臨床学会ほか会員]
***
月9である。福山雅治である。タイトルが「ラヴソング」である。
オーディションで選ばれた新人・藤原さくら演じるヒロイン・さくらは吃音症である。
福山演じる広平は臨床心理士である。
・・・と、ここまで分かればストーリーはほぼ想像がつく。福山の献身的なケアによって、さくらの吃音症は次第に改善していく。23歳年上の広平にさくらは惹かれ、やがて恋心を抱く。吃音は治り、2人は恋人同志になる。または吃音があったとしても広平はそのままのさくらが好きだと告白する。どっちになるのだろう。
この筆者の予想を全く裏切ってくれるとすれば、それはそれで嬉しい。ドラマの2回目を見たが、脚本はおそらく6、7話ぐらいまでできあがっているのだろう。
【参考】<テレビドラマ崩壊現象が進行か>フジ・ドラマ名門枠「月9」で『いつ恋』が史上最低視聴率9.7%
気なるのは広平が臨床心理士であると言う点である。臨床心理士は職業規範としてクライエント(治療対象者)に恋愛感情を抱くことは厳しく禁じられている職業である。
多くクライエントは自分の担当の臨床心理士に恋ごころを抱くようになる。これを専門的には「逆転移」という。この「逆転移」が起きないように臨床心理士は注意深くケアを進めなければならない。
「逆転移」の状態が発生すると、臨床心理士側もクライエントを好きになってしまうことがある。これを専門用語では「転移」という。本当の治療はこの「転移」「逆転移」を乗り越えてこそ行えるようになるというのがこれまでの考え方である。
臨床心理士の仕事の基本は「傾聴」「共感的理解」「受容」である。一生懸命話は聞くが指示はしないというのも基本姿勢である。
広平はさくらの働く自動車整備工場に企業カウンセラーとして週に2日勤務しているという設定だ。大企業には企業カウンセラー、産業カウンセラーなどがいて、心のケアに当たるところも増えてきた。
が、ドラマで見る限りの規模の工場に企業カウンセラーが配置されているのはよほど福利厚生に関心が高いか、企業カウンセラーがいないと仕事が回らない程のブラック企業と言うことかも知れない。
【参考】<佐世保女子高生殺害事件>自閉症スペクトラム者を殺人と結びつけるのは妥当性を欠くニュースだ
吃音症の治療には広平のような臨床心理士よりも、水野美紀演じる言語聴覚士が当たるのことが多い。田中哲司が耳鼻科医なのも、耳鼻科医が吃音症の治療に当たることもあるからであろう。
臨床心理士や言語聴覚士は医師ではないので診断も投薬も出来ない、基本的には医師の指示のもとにそれを助けるのが彼らの業務なのである。
こういう障害モノのドラマの場合、あざとさ、嘘くささが見えてしまうと失敗であると筆者は思う。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)には、日本でも放送されていた米国ドラマ『ER緊急救命室』等に医療情報を提供する研究機関がある。
この研究機関のモットーは「エンターテインメントファースト、メッセージセカンド」であり、ドラマを面白くすることを第一義として正しい医療情報を提供している。さすがハリウッドのあるカリフォルニアである。
「ラヴソング」も正しい医療情報と共に面白いドラマにして欲しいと願う。






高橋秀樹さんというのはとても重要な指摘をしています。本来、医療従事者が患者との恋愛というのは御法度なわけです。その状態になってしまうのは双方に不利益を生むのです。今回の吃音障害ドラマラヴソングはどのようになるのでしょうか?月9伝統の恋愛ドラマにしてしまうのか?それとも現実を重視したドラマになるのか?これはとても重要なところです。



また、高橋秀樹さんが記事中で臨床心理士や言語聴覚士は医師ではないので診断も投薬も出来ない、基本的には医師の指示のもとにそれを助けるのが彼らの業務なのである。と指摘している部分があります。これはブログ主が毎回毎回指摘しているように、吃音業界の悪い例を高橋秀樹さんがご存知なんだろうと思います。吃音業界というのは医師や歯科医師の指示に従わない、言語聴覚士や臨床心理士、民間資格の簡単に名乗れる臨床心理士のような人、などが勝手に自由診療で吃音を治しますなどといい、クリニックを営業している場合があります。とはいえ、そもそも発達障害者支援法に定義されている吃音障害なのに、同法19条が国や都道府県によって明確な動きがないことも問題だと思います。そもそも都道府県に最低1つは吃音障害を診療できる病院が存在しないといけないはずです。発達障害者支援法は2005年施行です。


(専門的な医療機関の確保等)
第十九条  都道府県は、専門的に発達障害の診断及び発達支援を行うことができると認める病院又は診療所を確保しなければならない。
2  国及び地方公共団体は、前項の医療機関の相互協力を推進するとともに、同項の医療機関に対し、発達障害者の発達支援等に関する情報の提供その他必要な援助を行うものとする。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO167.html

吃音障害はちゃんと保険診療ができます。病院で診療できます。
高額な入会金や月謝などは必要ありません。ちゃんとした医師、その医師から指示を受けた言語聴覚士や臨床心理士がいる病院にいくことをおすすめします。


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