2015年12月14日月曜日

人事労務・採用活動担当の能力不足で、間違えて入社させてしまった発達障害者 合法的に会社から去ってもらうには?発話した瞬間バレる吃音者はどうなる?

人事の役割:アスペルガー症候群(大人の発達障害者)の社員への対応

鬼本 昌樹
戦略人財コンサルタント 代表

http://www.insightnow.jp/article/8912


みなさんは上の記事を読んでどう思いますか?
この記事のポイントは

・社内に困った社員がいる。アスペルガー症候群のようだ
・社内では戦力外と結論。だが訴えられないように合法的に出て行ってもらうにはどうするか
・よし!細心の注意を払い訴えられないように、人材コンサルタントや転職サービスを利用させて『自らの判断で転職してもらおう』

である。

とてもヒドイ記事だと感じるだろうか?
それとも戦力外社員だからたとえ会社の社訓に「人を大切に」と書いてあっても、困った社員には出て行ってもらうか?
ちなみにこの手の話はインターネット上を検索すれば出てくる出てくる。
困った社員を発見する方法から転職サービスまで出てきます。


◆吃音者や非吃音者、社会的障壁がある人ない人に立ちはだかるかもしれない就職活動の壁
過去にブログに掲載したが、企業の本音とはコレである(長文なので15分ほど)
採用段階から発達障害かどうかを調べたり、障害者とは大体こうだというものさしがある。
「独立行政法人 労働政策研究・研修機構」が「就職するのが困難な来所者」を公開していて
吃音者が含まれている。
http://stutteringperson.blogspot.jp/2014/10/blog-post_18.html


◆発話した瞬間に発達障害者だとバレる吃音者の就職活動はどうなるのか?
ここで問題なのは、発話した瞬間に「何らかの病気?障害者?」と相手の印象に残る吃音者である。吃音者であれば、採用段階で『貴意に添えない結果となりました。誠に残念ながら希望に添えない結果となりました。』というお手紙やメールを貰うだろう。

※2014年7月3日から国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報・支援センターにより『吃音者は発達障害者である』と告知されたのを皮切りに、国や地方公共団体等が相次いで手のひらを返すように、その情報を周知徹底しはじめている。2005年の厚生労働省・文部科学省連名事務次官通知 17文科初第16号厚生労働省発障第0401008号という通知文が法的根拠である。
だが、吃音が発達障害者であると告知される以前から、吃音者は就職活動で採用されにくいと言われている。2015年現在以降の就職活動では吃音は2005年時点から発達障害者であることが企業側にも知れ渡るようになったので、『私は吃音者ですが、御社のために働きます!』などと、吃音者であることをカミングアウトする戦略は竹槍で白兵戦を挑むようなものだ。いや、白兵戦になるまえに長距離から殲滅される。


今回のニュース記事では入社してしまっていた発達障害者をどうやって訴訟にならずに合法的に会社から出て行ってもらうかの事例である。今後は吃音者を発見する方法や吃音者をどうやって入社させないか、間違えて入社させた場合はどうやって精神障害者保健福祉手帳を取得させるか、間違えて入社させた場合はどうやって転職してもらうか。などの人材コンサルタントや人材コーディネーターやリスク人材管理システムを売りにするサービスが登場するだろう。

※実はすでに人事労務採用担当者向けの書籍で発達障害をどうやって法律に触れずに確認するか?どうやって発見するか?障害によるミスをどう指摘していくか?という内容の書籍が存在している。
日本人事労務研究所 月刊人事労務「2015年11月号<発達障害者の雇用>」
http://www.nihon-jinji.co.jp/201511gekkanshi.html


吃音者でよくある事案であるが。公務員試験なら差別はないだろうと勘違いして、毎年毎年、年齢制限になるまで公務員試験を受けている人である。筆記試験は何とかなるのだけど、面接で落ちるパターンである。

公務員の人事労務・採用担当部署でも、無論、民間企業と同様に、『なぜ、この人は毎年面接で落ちるのか?理由は引き継ぎされているのである』

さて、新卒就職枠という一生に1回しか利用のできない貴重な資格であるが。
この資格を無駄にしないためにどうしたらいいのだろうか?
吃音をカミングアウトする戦略は、すでに通用しないと思ったほうがよい。
吃音をカミングアウトしても受け入れてくれる会社は存在するかもしれないが。
吃音者が本当にしたかった仕事、本当に入社したかった会社がある場合は絶対にカミングアウトしてはいけない。公務員でも同様である。

「吃音があります」とカミングアウトした瞬間に採用担当者は【精神障害者保健福祉手帳を持っていますか?】と質問を返してくるだろう。何しろ、2018年から障害者の法定雇用率算定方法に今までみなし雇用とされていた精神障害者が計算式公式に入るからである。吃音者が就職活動で応募してくれば、法定雇用率に計算できる企業側としてホクホクである。また、吃音がある医師や看護師や言語聴覚士もカミングアウトすればそもそも資格試験が通らないかもしれない。採用されるにしても精神障害者保健福祉手帳を持っているかどうかを質問されるかもしれない。


本当に入社したい会社がある吃音者は、捨て就職活動として、興味ない会社に応募をして、就職活動練習をしたあとに、大本命の企業や公務員に応募したほうがよい。本命企業に初っ端から応募してはいけない。

ポイントは
・吃音を隠すなら隠し通せ!絶対にバレてはいけない。
・吃音をカミングアウトするなら精神障害者保健福祉手帳を取得せよ。
・吃音があっても大丈夫だよ。気にしない会社だってあるよ。私の会社は大丈夫だよ。っていう当事者は【後輩吃音者のために、人事労務・採用担当者を説得せよ。面接の機会を用意せよ。】
・吃音があるが、医師や看護師や言語聴覚士や教員になりたいという人は資格を取って採用されるまではカミングアウトしないほうがいいかもしれない。


吃音当事者や保護者・養育者、吃音に関わる教員や医師や言語聴覚士は
吃音当事者と家族に向けて、良い情報も悪い情報も伝えるようにしてほしい。
吃音当事者も吃音のリスクマネジメントとして、360度全ての道を選べるようにすべきである。
吃音当事者団体も人権侵害に対して、身体障害者団体、発達障害者団体、難病者団体、その他社会的障壁のある人の団体と協力していくべきだろう。



◆最後に思ったこと
吃音者が障害者じゃない。うちの子どもは障害者じゃない。
と思ってしまう。お父さんお母さんおじいちゃんおばあちゃん。
もしかして、ご自身の所属する会社組織で「障害者がどのように扱われているか?」
本当は知っているのではないか?だから障害者が嫌いなのではないか?
だからこそ。吃音者は障害者ではないですよ♪という障害者認定反対の大いにどもってそれでよし!派閥に入会してしまうのではないだろうかと。


吃音のリスクマネジメントとしては。俗に言う発達障害者(自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、ADHD、学習障害、運動チック、音声チック、トゥレット症候群、協調運動障害)のように、早期発見早期療育をして将来的にどっちの選択肢も選べるようにしておいたほうが良いと考える。一般枠で働くか?障害者雇用枠で働くか?

障害者ではないという考えに固執してこだわって執着して、「使えたはずの選択肢を知らないまま時間が経過するのは酷である」吃音当事者も保護者養育者も学校の教員も病院医師も言語聴覚士もよく理解しておく必要がある。

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