2014年4月16日水曜日

日本の国会で吃音が取り上げられた事案 第035回国会 社会労働委員会 第3号 昭和三十五年九月九日(金曜日)

1960年

第035回国会 社会労働委員会 第3号
昭和三十五年九月九日(金曜日)
    午前十一時十三分開議
 出席委員
   委員長 大石 武一君
   理事 齋藤 邦吉君 理事 八田 貞義君
   理事 柳谷清三郎君 理事 滝井 義高君
   理事 八木 一男君
      遠藤 三郎君    岡崎 英城君
      亀山 孝一君    木倉和一郎君
      河野 孝子君    田中 正巳君
      永山 忠則君    山下 春江君
      亘  四郎君    伊藤よし子君
      大原  亨君    小林  進君
      五島 虎雄君    山口シヅエ君
      本島百合子君
 委員外の出席者
        厚生政務次官  田中 正巳君
        厚生事務官
        (大臣官房長) 高田 浩運君
        厚生事務官
        (大臣官房審議
        官)      山本 正淑君
        厚生事務官
        (大臣官房国立
        公園部長)   木村 又雄君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局
        長)      尾村 偉久君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局環
        境衛生部長)  聖成  稔君
        厚 生 技 官
        (医務局長)  川上 六馬君
        厚生事務官
        (医務局次長) 黒木 利克君
        厚生事務官
        (薬務局長)  牛丸 義留君
        厚生事務官
        (社会局長)  太宰 博邦君
        厚生事務官
        (児童局長)  大山  正君
        厚生事務官
        (保険局次長) 山本浅太郎君
        厚 生 技 官
        (保険局医療課
        長)      館林 宣夫君
        厚生事務官
        (年金局長)  小山進次郎君
        労働基準監督官
        (労働基準局
        長)      大島  靖君
        労働基準監督官
        (労働基準局監
        督課長)    上原誠之輔君
        労働事務官
        (職業安定局
        長)      堀  秀夫君
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
八月十七日
 委員小澤佐重喜君辞任につき、その補欠として
 辻寛一君が議長の指名で委員に選任された。
同月十八日
 委員辻寛一君が退職された。
同月三十一日
 委員古川丈吉君辞任につき、その補欠として世
 耕弘一君が議長の指名で委員に選任された。
九月一日
 委員世耕弘一君辞任につき、その補欠として古
 川丈吉君が議長の指名で委員に選任された。
同月八日
 委員多賀谷真稔君辞任につき、その補欠として
 横山利秋君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員横山利秋君辞任につき、その補欠として多
 賀谷真稔君が議長の指名で委員に選任された。
同月九日
 委員加藤鐐五郎君、小林絹治君、中村三之丞君
 及び早川崇君辞任につき、その補欠として岡崎
 英城君、田中正巳君、遠藤三郎君及び木倉和一
 郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員遠藤三郎君、岡崎英城君、木倉和一郎君及
 び田中正巳君辞任につき、その補欠として中村
 三之丞君、加藤鐐五郎君、早川崇君及び小林絹
 治君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 厚生関係の基本施策に関する件
 労働関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
○山下(春)委員 もう一つ社会局長に具体的なことで伺っておきますが、昨年非常にささやかな精薄者福祉法というものをお作り願って、それでも精薄者三百万の人たちはほんとうに暗やみに急に太陽が上がったような喜びを感じておるようであります。しかしながら法律というものはできたらいいではなくて、ことしあたりから十分にその内容を充実してやらなければいけないと思うのでありますが、この精薄問題につきまして、来年度以降どのような推進政策を考えられ、実行しようとしておいでになるか、ちょっとその概況を承らしていただきます。
○太宰説明員 本年の四月から、おとなの精神薄弱者の方々の福祉をはかる精神薄弱者福祉法を制定していただきまして、全国の関係の方々は非常に大きな喜びと今後の期待とを持っておるように私どもも感じます。従来児童福祉の面において相当出ておりましたが、おとなの方々に対するこういう福祉対策の面について、やはりいささか足りなかった面があったであろうというふうに私どもも存じております。そういう面で、今後早急にこの精神薄弱――これはおとなも子供も変わりなく、この人たちの福祉をはかるために邁進して参りたいと思う場のでありますが、ただ現状を見ますると、全国に、援護をいたしまする施設の数が非常に不足しております。今年度あたりまで府県で持っております施設は六カ所くらい、そのほか若干の民間の施設はございますけれども、児童の場合に比べますと非常に福祉の施設として足りないという面もございます。私どもはまず手初めに精神薄弱者の援護施設というものを少なくとも全国の各府県に一カ所は持って、これを橋頭堡といたしましてその後の第二、第三の施策を立てて参るということで、特に重点を精神薄弱者の援護施設を各府県に早急に設置するということに置いて、ここ数年の間に、残りました四十の県にこれをぜひ設置していただきたい。まずこれが拠点となりまして、その後いろいろな施策が展開して参ることと思い、第一の拠点をここに置いて進んで参りたい。そのほか、精神薄弱者の方々の実態につきましても、なお十分把握いたしておらない面もございますし、またこの方々といえどもできるだけ社会に貢献し得るように、自立自活できるような職業――職業と申しましても百。パーセントのあれは期待できませんけれども、幾分でも自立できるという面、人間としての誇りを持っていただくというような面につきましても対策を進めて参りたい、かように考えておるわけであります。まず第一番の重点は府県に施設を早急に設置するということに置きたいと考えておる次第でございます。
○山下(春)委員 ぜひそう願いたいと思います。精薄者を持ちます家族は、ほんとうに一家心中をしようかというほどの悲劇を繰り返し、しかもその親たちは、死んでいったときにこのせがれは一体どうして生きていくだろうかという、ほんとうに親が命が終わるときには子供も一緒に連れていきたいような、全く精薄者の家庭でないとほかから想像のつかないような苦しみをしております。少なくとも局長の言われるように、各県に一カ所成人の精薄者の収容施設があって、その中で職業訓練等も熱心に行ないますれば、局長仰せの通り精薄者でも必ず社会人として相当な貢献をするところまでこれが訓練されていくということの実績も上がっておりますので、ぜひ強力にそれをお進め願いたいということを強くお願いをいたしておく次第であります。
 社会局長にもう一つお伺いいたします。これはまだ社会局長の方でも具体案がないと思いますが、同じ身体障害者の中で耳の聞こえない人があるのです。このろうあ者に対しても、これは身体障害者福祉法のワクの中にございますが、これまた大ていの人が目が見えますだけに、目が見えて何か言いたい、その意思表示が全然できない、耳も聞こえない、口でも言えないという人間の苦しみというものも、この中に飛び込まないとわからない容易ならざるものがあるのであります。私どもこの文明の世の中に電話という非常に便利なものがありますが、この電話を発明した人が実はろうあ者であることは局長御承知の通りであります。アメリカのベルという博士が作ったのが電話でありますが、この方は奥さんがろうあ者であった。そうして自分もろうあ者に近い、強いどもりの人だったそうでありますが、奥さんのろうあの生活に何か光を与えたいという非常な苦心の結果、電話というものが生まれたということになっております。このろうあ者に対して、前に政府で作ってもらいましたろうあ者のセンターみたいなものは、実は耳の聞こえない人たちだけの福祉の機関にと思ったのですが、だんだん運営していったら、そうでなく、普通の身体障害者の職業訓練所みたいなことになりまして、実は全国のろうあ――どのくらいでございましょうか、ほんとうに耳の聞こえない、もの言えない純粋なのは十三万余りでございましょうか、非常にどもりがきつくて耳もあまり聞こえないというように、ワクを広げれば二十五万以上おると思いますが、それらの人に対して――ベル博士が非常な苦心をして生まれてきたその電話というものは、耳の聞こえる人たちがその文明の恩典に浴しておるわけでありますが、そういうようなところから説き起こしまして、社会局というのは救世軍とは違うとおっしゃるかもしれませんが、やはりそういうところに深い根をおろさないと、厚生行政もほんとうに血の通った、国民がほんとうにあたたかい厚生省だという厚生省になかなかならないと思うのでありますが、その問題について、来年あたり、ぜひろうあ者のための、ほんとうに耳の聞こえない人たちの、手まねでいろいろやっておりますが、何てまあもどかしい人間の生活だろうと思いますが、それらに何かしてやろう――何かというのではいけないから私の方で題を出しますが、それらの人人にほんとうに中央のセンターで、ろうあ者だけの、将来はそれがろうあ者の老人ホーム等にも波及する構想として、中央センターを建設してやって、これらの人々にあたたかい生活をさせたらどうか、こういうふうに思います。前安田局長の時代にこれは相当具体化そうとしておったのが、局長おかわりになって、太宰局長になってからはわれわれ陳情にいきませんのでまだ具体的にお考えになっていないかと思いますが、政務次官どうでしょうか、一つそういうものを作っていただくことに、われわれ大いに協力しますから、厚生省一つ音頭をとっていただくわけにいかないでしょうか、政務次官のお考えを聞かせて下さい。
○太宰説明員 ろうあ者の問題も、あえて私からこと新しくお答えするまでもなく、ハンディ、しかも相当重いハンディを負って社会に生活されておる方の福祉を私どもできるだけ考えなければならぬことは当然でございます。お話しの通り、先年ろうあ者センターを設けまして、そこにおいてこの方々の福祉のやり方をさらに強化する方法を考えておるわけでございまして、今日なお十分であると申し上げられる段階でないことは私ども遺憾に思うのであります。お尋ねの、何か収容の施設というようなお話でございますが、この点につきましても、ただそういうところに収容するだけでなしに、その生活訓練をし、世間に奉仕する、がんばる力も与えるというような自立活動という面において一つやろうかと考えておりますが、その具体的な方法につきましてはなおしばらく検討をさせていただきたいと思うのです。先生の御高説も拝聴したいと考えております。
○山下(春)委員 私はまだ児童局やいろいろの方々に諸般のことで伺いたいことがたくさんありますが、私だけが時間を頂戴いたしましては社会党さんに申しわけありませんからこの辺で終わりたいと思いますが、要は、ことしは社会保障が非常に強力に大幅に推進される年のような感じが私たちはいたします。池田内閣もそのことのために全力を傾けているやに私どもも承知をいたしておるときでございますから、厚生省全体が一つふるい立って、強力にお進めを願って、むしろわれわれ党の方のおしりをたたいてもらって、そうしてまだいけない、まだいけないとわれわれを督励していただくような心がまえで、今年こそ、やろうと思っていた、きょうまでうっせきしていたものを一ぺんに爆発させて政策を推進するというかたい御決意を持って邁進されんことをお願いいたしまして私の質問を終わります
全文
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/035/0188/03509090188003a.html

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