2014年10月31日金曜日

心の健康検査「D-PAT」の監修者が向谷地 生良氏だった件

■以前、この記事を書きました。
吃音者や非吃音者、社会的障壁がある人ない人に立ちはだかるかもしれない就職活動の壁
http://stutteringperson.blogspot.jp/2014/10/blog-post_18.html

その記事の中で一般社団法人クオリティ・オブ・ライフ創造支援研究所が提供する
メンタルヘルス対策・心の健康検査「D-PAT」を検索して発見してきたことを書きました。
そのサイトをじっくり読んでいたのですがこのD-PATを監修しているのがあの有名な、向谷地 生良 氏 (北海道医療大学教授、社会福祉法人べてるの家理事など)だったのです。



■えっ?障害者の支援者側だと思ったのに
私は向谷地 生良(むかいやち いくよし)さんの名前が監修者として書かれているのを見て驚きました。なぜならメンタルヘルスチェックや発達障害者やうつ病傾向などを発見する方法を提供する側に立っているってことですからね。衝撃を受けました。すごい衝撃音と頭を殴られたような感覚です。もっと社会的障壁のある人の側によりそい、配慮を行うことをしてほしかったかな?と思います。というか障害者をなぜ発見する方法が必要なのでしょうか?

「D-PAT」は、目には見えない「個性と気質の傾向」と「心の状態の傾向」を簡単に判定ができます。
専門家が診断の参考にされる事が多いWHOの「ICD-10(国際疾病分類)」と米国精神医学会の「DSM-Ⅳ-TR(精神疾患の分類と診断の手引・第4版改訂版)」を判定基準に採用した検査仕様となっています。
新型うつ病などの様々な精神障害の傾向を判定
「D-PAT」では、近年急増している、「職場不適応症」や「新型うつ病」といわれる様々な「不安障害」・「気分障害」・「適応障害」・「発達障害」の傾向が判定できます。
*判定基準には主にDSM-Ⅳを採用しています。
http://www.qol-souken.org/d-pat/character.php



■向谷地生良さんと伊藤伸二さんて共同で書籍を出版していましたよね
日本吃音臨床研究会の伊藤伸二さんと向谷地生良さんは『吃音の当事者研究: どもる人たちが「べてるの家」と出会った 単行本 – 2013/9/23向谷地 生良 (著), 伊藤 伸二 (著)』という書籍を販売しています。

http://www.amazon.co.jp/%E5%90%83%E9%9F%B3%E3%81%AE%E5%BD%93%E4%BA%8B%E8%80%85%E7%A0%94%E7%A9%B6-%E3%81%A9%E3%82%82%E3%82%8B%E4%BA%BA%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%8C%E3%80%8C%E3%81%B9%E3%81%A6%E3%82%8B%E3%81%AE%E5%AE%B6%E3%80%8D%E3%81%A8%E5%87%BA%E4%BC%9A%E3%81%A3%E3%81%9F-%E5%90%91%E8%B0%B7%E5%9C%B0-%E7%94%9F%E8%89%AF/dp/4760823808


私の余計な不安というか心配なんですけど、吃音者を見分ける方法とか企業の人事部門や採用部門に教えていないだろうな?と恐ろしくなってしまいました。吃音症はDSM-4にもDSM-5にも掲載されています。いったいどんな立ち位置なんでしょうね???

障害者差別解消法や障害者の権利に関する条約が動き始める日本なのに、こんな時代に逆行したサービスを行うなんて私には理解できません。うつ病かどうか?不安障害かどうか?発達障害かどうか?吃音かどうか?なんてことがチェックされてしまう職場なんておかしくないですか?そんなことより、障壁が発生しない職場環境や働く時間を考えてほしいものです。

まるで病気や障害がある「あなたが悪い」ってことじゃないですか?
そうじゃなくて社会的障壁があっても仕事ができる職場環境を作る方法を販売してほしいものです。


にしても、日本政府の内閣府の障害者差別解消の基本方針や障害者の権利に関する条約には、こういう採用段階や入社後のメンタルヘルスチェックって人権侵害に指定しないんですかね?






2014年10月29日水曜日

【告知】吃音のあるお子さんの保護者 & 吃音のある小学生のつどいの情報です。2014年12月6日(土) 金沢大学角間キャンパス

学苑社のぶろぐさんから情報提供
http://gakuensha-no-blog.seesaa.net/article/407958846.html


『学齢期吃音の指導・支援 改訂第2版』『吃音・流暢性障害のある子どもの理解と支援』の著者、小林宏明先生が開催される吃音のあるお子さんの保護者 & 吃音のある小学生のつどいのお知らせです。

詳細につきましては、小林先生のサイト「吃音ポータルサイト」をご覧ください。
http://www.kitsuon-portal.jp/archives/1850#more-1850

DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引が発売されていました。ハンドブック版なので4860円です

2014年10月24日金曜日

【告知】学術研究ネットシンポジウム 日本と世界の教育 ―幼児~基礎教育―

詳細はリンク先で
http://gakujutsu-kenkyunet.org/

講演内容:発達障害とは何か、その対処法、海外の教育事情を学ぶ(オランダは枠にとらわれない学校教育を実施しながら個性を伸ばす教育を行っている。学力も高く「世界一子どもの幸福度が高い国」と言われている(ユニセフ調査)

日時:10月26日(日)午後1時から5時(開場12時30分)
場所:お茶の水女子大学 大学本館生活科学部306室
(当日は正門しか開いていません)

●講演1:子どもの発達障害
榊原洋一(お茶の水大学教授:小児科医)
著書『図解よくわかる発達障害のこどもたち』ナツメ社、他多数

●講演2:日常生活で子どもの心を育てる言葉かけ、かかわりのコツ
shizu(自閉症療育アドバイザー)
著書『発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ』講談社

●講演3:共生を育み支える学校制度とはーオランダの事例を中心に
リヒテルズ直子(オランダ社会・教育事情専門家)
著書『オランダの個別教育はなぜ成功したのか』他多数

●総合討論

参加費無料
事前申込制 定員150名

主催:学術研究ネット
申し込み先:学術研究ネットHP
http://gakujutsu-kenkyunet.org/

【告知】吃音講演会&吃音検査法講習会(2014 年11月15日、広島大学、参加費無料)

学苑社のぶろぐ より
http://gakuensha-no-blog.seesaa.net/article/407500733.html

*******************
吃音講演会&吃音検査法講習会

●日時
2014 年11月15日(土)
9:30-16:00(9:00受付開始)

●場所
広島大学大学院教育学研究科第一会議室
広島県東広島市鏡山1-1-1

●スケジュール
9:30~10:00 「吃音の包括的評価」川合紀宗(広島大学)
10:00~11:00 「クラッタリングの評価」宮本昌子先生(目白大学)
11:00~12:00 「吃音の評価をどのように支援につなげるか?」
        長澤泰子先生(ことばの臨床教育研究会)
12:00~13:00 昼休憩
13:00~16:00 「吃音検査法講習会」原 由紀先生(北里大学)

●参加費
無料

●申込先
特別支援教育実践センター
Email: csnerp☆hiroshima-u.ac.jp(☆を@に置き換えてください)
TEL/FAX: 082-424-7179

●申込方法
①氏名(ふりがな)、②所属、③連絡先(電話番号、FAX番号、メールアドレス)、④主催者側が配慮すべき事項をご記入の上、メールまたはFAXにてお申し込みください。

●申込締切日 10月31 日(金)
・吃音臨床講習会にご参加される方は改めてのお申し込みは必要ありません。
・「吃音検査法」をお持ちの方はご持参ください。当日購入をご希望される方は上記締切日までにその旨お知らせください。

●主催
広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター
●共催
日本吃音・流暢性障害学会
●後援
広島県言語聴覚士会
国立大学法人障害児教育関連センター連絡協議会

※本講習会は科学研究費補助金「吃音がある幼児・児童・生徒の包括的検査バッテリーの開発 」(課題番号:24330263)および吃音児者のQuality of Life向上を目指した総合的な吃音評価法の開発」(課題番号:24700534)の助成を受けています。

*******************

2014年10月18日土曜日

【告知】よこはま言友会「吃音フォーラムin川崎」

日時:2014年10月19日(日)13:00〜16:30 
場所:ミューザ川崎 研修室  ☆定員:80名  ☆参加費:500円
内容
北里大学東病院 言語聴覚士吉澤健太郎氏による公演・対談・吃音相談
ことばの教室・言友会綾部泰雄先生による吃音相談・言友会紹介

詳細はリンク先を
http://www.yokohama-genyukai.jp/news/390.html

【告知】栃木言友会「栃木吃音を考えるつどい」

日時:2014年10月19日(日)13:30〜16:45 栃木県教育会館 大会議室
講師:坂田善政(国立障害者リハビリテーションセンター学院教官

詳細はリンク先を
http://tochigi-genyukai.org/87.html

吃音者や非吃音者、社会的障壁がある人ない人に立ちはだかるかもしれない就職活動の壁

吃音者や非吃音者、社会的障壁がある人ない人が就職活動をする際、もしかしたら立ちはだかるかもしれない壁。
もちろん全部が全部そうだとは言えないが。情報として知っておいてほしい。
このニュースやソースを見て吃音当事者、吃音者のお父さんお母さんはどう思う?
吃音であることを隠して就職活動をするか?
堂々と吃音であることを誇りに思い、吃音者であると履歴書に明記して就職活動するか?

※最初の文章はここからニュース記事です。読み飛ばしてもOKです。


■ストレスチェック義務化、企業は何をすればいい?
 私は、ある外食産業を営む企業で人事を担当しています。

 コスト、人員の削減、ライバル他社との生き残り競争で、われわれの業界を取り巻く状況は厳しくなる一方です。店ごとに課されるノルマ、長すぎる労働時間……。本社と現場で働くパートやアルバイトの間で板ばさみになる社員の苦労は並大抵ではありません。当社でも、最近、うつ病などの心の病気で、職場を長期間休んだり、場合によっては退職にまで追い込まれたりする人が増加しています。

 先日も関東地方のある店舗の店長が無断で欠勤したので、心配になって何度も携帯電話にメッセージを入れたのですが、返事はなく、何日かたって本社に退職願が郵送されてきました。人づてに聞いたところ「もうやっていけない」と周囲にはもらしていて、東北地方の実家に戻ってしばらく静養するようです。ゆくゆくは地域を統括するエリアマネジャーを経て本社に引き上げようと目をかけていた人材だっただけに、残念です。当社もメンタルヘルス対策が急務だと痛感しています。

 産業医のアドバイスを受けながら、社員の心の健康を守る具体策を人事部内で検討していたところ、厚生労働省が、職場のメンタルヘルス対策を義務化する方針を打ち出し、今般、一定規模以上の企業は、従業員の健康診断と同様に、メンタルチェックを行わなければならなくなったと聞きました。私も新聞などの関連記事を読みあさり、情報収集にあたっているのですが、6月に法律が成立した以上、悠長なことは言っておられず、施行までに態勢を整えなければなりません。色々な情報が飛び交っていますが、今回の制度の内容と、施行までに最低限何をすれば良いのかについて、教えていただけないでしょうか(最近の事例をもとに創作したフィクションです)。

(回答)

メンタルヘルス検診の義務化

 ストレスチェック検診の義務化を盛り込んだ「労働安全衛生法の一部を改正する法律」(以下、「改正法」)が、6月19日、衆議院で可決成立し、同25日に公布され、注目を集めています。

 労働安全衛生法とは、「労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする」(同法1条)法律です。ちなみに、労働安全衛生法は、もともと労働基準法の中に規定されていた内容を分離独立させたものです。

 今回の改正は、近時の社会情勢の変化や労働災害の動向に即応し、労働者の安全と健康を確保するため、労働安全衛生対策の一層の充実を図ることを目的とするものであり、<1>「化学物質管理のあり方の見直し」(一定の危険性・有害性が確認されている化学物質について事業者に危険性または有害性の調査を義務づけ)、<2>「受動喫煙防止対策の推進」(受動喫煙防止のための適切な措置の努力義務化、国による必要な援助)、<3>「重大な労働災害を繰り返す企業への対応」(企業に対し改善計画の作成を指示する仕組みの創設、勧告に応じない場合の企業名の公表)といったポイントの他、<4>「メンタルヘルス対策の充実・強化」が挙げられています。

 この「メンタルヘルス対策の充実・強化」の内容として、労働者の心理的な負担の程度を把握するため、医師または保健師による検査(ストレスチェック)の実施を事業者に義務づけることになり、これが一般に「メンタルヘルス検診の義務化」として、特に注目を集めているわけです。

 実は、皆さんが普段何気なく会社に指示されるままに受けている年に1度の健康診断も、労働安全衛生法の規定に根拠を置くものです。同法第66条1項は、「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない」と規定し、これを受けた規則第44条1項は、「事業者は、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない」と規定しているのです。

 今回の改正によって、「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない」との規定が設けられ、通常の健康診断に加えて、さらにメンタルヘルス検診も追加されることになるわけです。メンタルヘルス検診の実施は、改正法の施行期日(メンタルヘルス対策の充実・強化に関しては、平成27年12月1日)、つまり、2015年中には施行されるのであり、企業としても、それまでには、具体的にどのように制度設計し、運営していけば良いのかの検討が必要となるわけです。

メンタルヘルス検診の概要

 今回の法改正は、精神障害の労災認定件数が2010年度から3年連続で過去最多を更新するなど急増していること(09年度234件、10年度308件、11年度325件、12年度475件)や、小規模事業場でのメンタルヘルス問題に対する取り組みが遅れていることが背景に挙げられており、メンタルヘルス検診の概要は、以下のとおりです。

 <1>労働者の心理的な負担の程度を把握するための、医師または保健師などによる心理的負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)の実施を従業員数50人以上の事業者に義務付け(従業員数50人未満の事業者に対しては、当面の間努力義務にとどまります)、検査結果が、検査を実施した医師または保健師などから直接本人に通知されます(「気づきの尊重」)。なお、検査を実施した医師または保健師などは、検査を受けた労働者の同意を得ずに検査結果を事業者に提供することは禁止されます。

 <2>検査の結果、一定の要件(今後、厚生労働省令で定められる予定です)に該当する労働者から面接の申し出があった場合(「労働者の意向尊重」)には、医師による面接指導を実施することが事業者の義務となります。なお、面接の申し出を理由として、事業者が面接を申し出た労働者に対して不利益な取り扱いをすることは禁止されています。

 <3>事業者は、上記労働者の面接指導希望に基づいて、医師に対して、面接の実施を依頼します。

 <4>医師から労働者に対する面接指導がなされます。なお、事業者は、面接指導の結果を記録しておかなければなりません。

 <5>事業者は、面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聴取しなければなりません。

 <6>事業者は、聴取した医師の意見に基づき、必要に応じて、就業上の措置を講じることが義務づけられます。就業上の措置とは、当該労働者の実情を考慮し、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少などをいうこととされていますが、今後、指針が公表される予定となっています。


ストレスチェックの内容

 実際にどのようなストレスチェックを実施することになるかは、今後、厚労省からガイドラインの形で公表されることとされており、現時点では不透明です。しかし、厚労省からの要請に基づき、独立行政法人労働安全衛生総合研究所から、労働者のストレスに関する症状・不調を適切かつ簡便に確認するための項目として、以下の9項目のチェック項目が例示され、各項目について、「ほとんどなかった」、「ときどきあった」、「しばしばあった」、「ほとんどいつもあった」のいずれかを回答するという方法が示されています。

 (1)ひどく疲れた
 (2)へとへとだ
 (3)だるい
 (4)気がはりつめている
 (5)不安だ
 (6)落ち着かない
 (7)ゆううつだ
 (8)何をするのも面倒だ
 (9)気分が晴れない

 上記9項目(1~3が「疲労」に関連する項目、4~6が「不安」に関する項目、7~9が「抑うつ」に関する項目)に対し、「ほとんどなかった」との回答の場合には1点、「ときどきあった」との回答の場合には2点、「しばしばあった」との回答の場合には3点、「ほとんどいつもあった」との回答の場合には4点とし、それぞれの数字を単純に加算して得点を算出するというのが簡易チェックとして示されているのです。そして、面接が必要かどうかを判定するための基準として、「抑うつ」については10点以上、「不安」については11点以上、「疲労」については12点以上が要面接対象者としています。

ストレスチェックの問題点

 私のような医学的素人からみても、このように極めて簡単な9項目のチェックリストで、本当にメンタルヘルスの判定に寄与するのかは疑問と言わざるをえません。現に、日本産業衛生学会産業医部会は、上記簡易チェックが行われると想定した上で、「その妥当性や有効性は未いまだに確認されていません。この事は、平成23年10月公開の労働安全衛生総合研究所が行った行政要請研究報告書『ストレスに関連する症状不調の確認項目の試行的実施』でも『実際の労働現場で使用した際の妥当性や問題点について未検証』とされ、研究の結果から『検査結果の解釈を慎重に行うことが望まれる』として、高ストレス者をより正確に推定するためには『全国から無作為抽出された労働者集団に基づく調査が必要である』としていることからも明らかです。このような有効性の検討が不十分で結果の解釈が困難な検査を、法の名で一律に全国の事業場と労働者に強制することは、単に産業保健の現場を混乱させるだけであり、行うべきではありません」と批判しています。

 前述のように、実際にどのようなストレスチェックを行うことになるかは未定であり、上記9項目の簡易チェックが採用されるかどうかははっきりしません。ただ、医学的な有効性・妥当性が未検証なストレスチェックが導入された場合、明確な根拠もないのに、事業者の安全配慮義務および予見可能性の範囲が拡大されることにつながりかねないと懸念する向きもあります。また、労働者がどれだけ正直に回答するかも不透明で、判断が困難になる可能性があり、本来問題ない者が問題ありとされたり、また、その逆のパターンが起こったりすることもあり得るものと考えられます。特に前者の場合における判定結果には、事業者によって濫用らんよう的に利用される可能性もあるとの懸念を示す向きもあるようです。

メンタルヘルス検診に伴う企業の新たなリスク

 従業員が、検査の結果を受けて面接を申し出た場合には、当然、ストレスの存在やその程度が企業に推測されてしまうことになり、それに伴い、意に沿わない配置転換などが命じられる恐れも出てきます。そこで、改正法では、面接の申し出を理由として、事業者が面接を申し出た労働者に対して不利益な取り扱いをすることを明確に禁止しています。ただ、不利益取り扱いの定義も含めた詳細についても、厚労省によって今後作成されるガイドラインに委ねられており、現段階では、どのような措置が不利益取り扱いに該当するのか必ずしも明確ではありません。ガイドラインの内容によっては、不利益取り扱いに関する判断を巡ってトラブルになる可能性も出て来るのであって、事業者の中には、その点を危惧する向きもあります。

 また、ストレスチェックを実施した医師または保健師などは、検査を受けた労働者の同意を得ずに、検査結果を事業者に提供することは禁止されていますが、何らかの理由で、通知に同意していなかった労働者の検査結果が事業者に開示されてしまうという事態が生じた場合、当該労働者のプライバシー権が侵害されたとして、検査実施機関およびそこに業務委託した事業者が責任を問われる可能性も出てきます。ストレスチェックの検査結果の管理については、十分な体制構築が必要ということです。

 そして、一般的に、今回の法改正における一番大きな問題とされているのが、この制度の導入によって、企業における安全配慮義務が、事実上拡大するのではないかという懸念です。

安全配慮義務違反

 使用者の労働者に対する安全配慮義務は、以前から判例法理として確立しており、「労働者が労務提供のため設置する場所、設備もしくは器具等を使用し又または使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護すべき義務」と定義されています(最高裁判所・昭和59年4月10日判決)。2007年制定の労働契約法第5条は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と規定して、使用者の労働者に対する安全配慮義務を明文化しています。また、労働安全衛生法1条では、「職場における労働者の安全と健康の確保」を同法の目的として規定しており、労働者の安全と共に、健康も保護の対象とされていることから、メンタルヘルス対策も使用者の安全配慮義務に当然含まれると考えられています。

 使用者が、この安全配慮義務を怠って、それこそ社員が自殺したような場合、多額の損害賠償が命じられる可能性も出てくるわけなのです。

電通事件判決

 この点、メンタルヘルスに関する安全配慮義務違反について判示した、電通事件判決が参考になります(最高裁判所・平成12年3月24日判決)。この判決は、従業員の過労自殺に関わる民事上の損害賠償請求事案につき、因果関係を認めた初めての最高裁判所判決として有名です。

 最高裁判所は以下のように判示しています。

 「労働者が労働日に長時間にわたり業務に従事する状況が継続するなどして、疲労や心理的負荷等が過度に蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険のあることは、周知のところである。労働基準法は、労働時間に関する制限を定め、労働安全衛生法65条の3は、作業の内容等を特に限定することなく、同法所定の事業者は労働者の健康に配慮して労働者の従事する作業を適切に管理するように努めるべき旨を定めているが、それは、右のような危険が発生するのを防止することをも目的とするものと解される。これらのことからすれば、使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり、使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者の右注意義務の内容に従って、その権限を行使すべきである。……大手広告代理店に勤務する労働者Aが長時間にわたり残業を行う状態を1年余り継続した後にうつ病に罹患し自殺した場合において、Aは、業務を所定の期限までに完了させるべきものとする一般的、包括的な指揮又は命令の下にその遂行に当たっていたため、継続的に長時間にわたる残業を行わざるを得ない状態になっていたものであって、Aの上司は、Aが業務遂行のために徹夜までする状態にあることを認識し、その健康状態が悪化していることに気付いていながら、Aに対して業務を所定の期限内に遂行すべきことを前提に時間の配分につき指導を行ったのみで、その業務の量等を適切に調整するための措置を採らず、その結果、Aは、心身共に疲労困ぱいした状態となり、それが誘引となってうつ病に罹り患し、うつ状態が深まって衝動的、突発的に自殺するに至ったなど判示の事情の下においては、使用者は、民法715条に基づき、Aの死亡による損害を賠償する責任を負う」

 つまり、裁判所は、Aの業務の遂行とそのうつ病罹患による自殺との間には因果関係があるとした上で、その上司が、Aが恒常的に著しく長時間にわたり業務に従事していること及びその健康状態が悪化していることを認識しながら、その負担を軽減させるための措置をとらなかったことに基づき、会社の責任を認めているわけです。そうなると、今回の法改正によりメンタルヘルス検診が義務付けられ、ストレスチェックを実施した結果、特定社員がうつ病などに罹患している可能性があると判定されたにもかかわらず、それを放置して、その後、当該社員の自殺といった事態が発生した場合、同検診が、事業者の責任を肯定する方向に作用するものと考えられます。つまり、場合によっては、医学的に有効性・妥当性が疑われているストレスチェックの結果により、事業者の予見可能性の範囲が拡大される、つまり企業の責任が肯定される可能性が高くなるのではないかと、企業は懸念しているわけです。

就業上の措置

 今回の法改正により、事業者は、聴取した医師の意見に基づき、必要に応じ、就業上の措置を講じることが義務づけられます。就業上の措置とは、当該労働者の実情を考慮し、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少などをいうこととされており、今後、指針が公表される予定となっていますが、就業上の措置が不十分であるとして、事業者が安全配慮義務違反を問われる可能性も出てきます。

 現在でも、うつ病等により休職した労働者が復職する場合、使用者には慎重な対応が求められており(厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」参照)、復職の判定、復職後の措置、休職期間中の解雇、休職満了退職などに関してトラブルになっている事例も決して少なくありません。

 ちなみに、うつ病などにより休職となった場合(疾病休職)、休職期間中に病気から回復して就労可能となれば、復職となりますが、逆に回復しなければ解雇となることから、どの程度まで回復(治癒)すれば就労可能と判断されるかがよく問題となります。この点、休職前に担当していた仕事を従前通りに遂行できる程度までの回復はしていないものの、比較的軽易な仕事ならできると労働者が主張した場合、最高裁判所は、疾病のため労働者が使用者に命じられた現場作業に従事することができないとしても、ただちに債務の本旨に従った履行がないとはいえないとし、労働者の職種の限定がない限り、労働者の能力、経験、地位、使用者会社の規模、業種、使用者会社における労働者の配置・異動の実情および難易などに照らして、当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる業務が他にあったかどうかを検討すべきであるとしており(平成10年4月9日判決)、企業に対し、労働者の復職に向けての相当の配慮義務を負わせています。

企業が講じるべき対策

 企業としては、2015年12月1日に予定されている改正法の施行までに何をしておく必要があるのでしょうか。

 上述のとおり、実際に行われるストレスチェックの内容や必要とされる就業上の措置などに関しては、いまのところ明確にされているわけではなく、今後、厚生労働省からガイドラインや指針といった形で示されることになりますので、企業としては、まず、メンタルヘルス検診に関する情報の収集に努めることが必要です。また、産業医と連携を強化するとともに、ストレスチェックの委託先選定、面接指導を委託する医師の選定・確保等、メンタルヘルス検診の運営体制構築の準備を進めておくことも重要です。

 一方、そもそも論として、この法改正の背景には、精神障害の労災認定件数が3年連続で過去最高を更新するなど急増しているにもかかわらず、本件問題に対する取り組みが遅れていることなどの事情が存在するわけであり、職場環境を改善・整備し、人事労務体制を見直し、社員が精神的疾患に罹患することを防止するような取り組みを積極的に行うことが不可欠です。

 もちろん、社員のストレスは、必ずしも職場にだけ原因があるわけではなく、家庭環境や友人関係など、プライベートな事情が大きく影響することもあります。ただ、社員は、1日のうちの多くの時間を社内で過ごすわけであり、原因がどこにあるかにかかわらず、今回、法改正によって導入されるストレスチェックも含めた総合的な対策により、社員の変化にいち早く気がついて、大事に至る前に対応するのは、社会的存在としての企業に求められている役割ではないかと思います。

 今回の法改正について、企業としては、体制整備に関わる負担の増加と受け止めるのではなく、貴重な人材を、精神的疾患によって失うことのないようにするための好機ととらえて、積極的に対応してもらいたいところです。


【引用元】
・労働安全衛生法一部改正案によるストレスチェック義務化
http://www.yomiuri.co.jp/otona/life/law/20141006-OYT8T50264.html

※最初の文章はここまでニュース記事です。読み飛ばしてもOKです。



・独立行政法人 労働政策研究・研修機構がHPで公開している研究成果にて就職が困難な人の見分け方に「吃音」が書かれている件。PDFファイルの資料を参照。 
あくまでも推測だけど国が主導している若者サポートステーションや新卒応援ハローワークの職員でさえ就職困難者の見極め方法があるなら、民間企業の人事部門にも見極め方法やマニュアルがあるのではないか?と邪推してしまうのです…。
http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2013/13-123.htm
以前、ブロクにて書きました→http://stutteringperson.blogspot.jp/2014/10/hp-no123.html


・企業の採用活動や人事異動にメンタルヘルス対策試験を提供する企業もある。(将来うつ病になるか?イエスマンか??)
V-CAT
http://www.jmam.co.jp/productservice/assess/adoption.html
不適性検査スカウター
http://www.scouterweb.jp/
HRベース
http://hrbase.ns-1.co.jp/
D-PAT
http://www.qol-souken.org/d-pat/jinji.php
メンタルヘルス簡易検査MHQ&MHQ2
http://www.kocorolab.com/services/%E6%B8%AC%E3%82%8B%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB%E5%8C%96%E3%81%99%E3%82%8B/mhq/
適性検査Compass
https://www.igniteeye.com/


・すでに社内にメンタル面で問題を抱えた社員がいる場合

株式会社ベクトル
http://www.vector-up.com/mentalhealth/#link4
【サービスカテゴリー】メンタルヘルス

【クライアント概要】大手ゲームソフトメーカー G社の例
http://www.vector-up.com/results/#link4





■これらの情報を調べていて本当に怖いなと思いました。
雇用する企業側である人事部門にこのようなサービスを提供する企業があるということです。

最初にYOMIURI ONLINEの労働安全衛生法の一部改正で企業がメンタルヘルスチェックを義務化され、今後どのように対応したらいいか?というニュースです。

※「労働安全衛生法の一部を改正する法律」が第186回国会で成立し、平成26年6月25日に公布されました(平成26年法律第82号)。
このページでは、改正労働安全衛生法についての情報を順次掲載していきます。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/an-eihou/


働く人のメンタルヘルスチェックが義務化というのは聞こえは良いのですが。
企業側がますます従業員に配慮をしなければいけないとのことで、となると企業側はリスク人材をそもそも採用しなければいいのではないか?という考えに辿り着くだろうと邪推します。


■リスク人材を入社させない、採用しない方法を知りたくなるよね。
リスク人材を会社に入社させないにはどうすればいいか?
もちろん企業の人事部門なら自然に考えることです。
そこでインターネットで「うつ リスク 人材」「うつ 人材 リスク 採用」「採用 メンタル チェック」なんて検索すればGoogleさんがあれよあれよと情報提供してくれるのです。

このように宣伝されています。









この中で1つ驚いた紹介文があるサービスを発見しました
・kocorolab

メンタルヘルス簡易検査MHQ&MHQ2

通常40分から1時間程度かかる総合的なメンタルヘルス検査と同様の内容を100問10分で受検可能な検査改良することに成功しました。従来、企業検査で はストレス状況を確認することが主流であったメンタルヘルス領域に対し、ストレスはもとより、なかなか確認しづらかったうつ状況の確認、さらには認知科学 (認知心理学、認知行動療法)の抑うつ理論に基づき、元来個人が潜在的に持っている「抑うつ発現」のリスク確度まで抽出します。他に近年、把握ニーズが高 まっている高機能自閉症/アスペルガー症候群を測るパートも付属しており、先進的なメンタルヘルス総合検査です。

・D-PAT
「D-PAT」は、目には見えない「個性と気質の傾向」と「心の状態の傾向」を簡単に判定ができます。
専門家が診断の参考にされる事が多いWHOの「ICD-10(国際疾病分類)」と米国精神医学会の「DSM-Ⅳ-TR(精神疾患の分類と診断の手引・第4版改訂版)」を判定基準に採用した検査仕様となっています。

新型うつ病などの様々な精神障害の傾向を判定
「D-PAT」では、近年急増している、「職場不適応症」や「新型うつ病」といわれる様々な「不安障害」・「気分障害」・「適応障害」・「発達障害」の傾向が判定できます。

*判定基準には主にDSM-Ⅳを採用しています。

本人は自分が発達障害と知らなくても、企業側はわかってしまうってことですかね?
これは障害者差別解消法や障害者の権利に関する条約には抵触しないんですかね?


■もしもメンタルヘルス対策を失敗したらどうするのだろう?
今度はこの企業が提供するサービスです。
株式会社ベクトルが提供する「社外転進サービス」です。
好きな仕事をしたくて入社した会社で、メンタルを病んでしまって、そして社外に転職したらどうですか?と言われてしまうサービス。






今回の記事を書くにあたって、情報を色々検索していましたが。嫌な気分になりました。
人材採用をするにあたってこんなサービスが存在していることです。
いやもちろん資本主義でグローバルに闘う活躍する企業戦士を採用する段階で厳しいチェックやハードルはあるとは思いますが。もっと働きやすい職場にすればいいのではないか?と考えます。

特に適応障害や気分障害や発達障害の傾向がわかるってこれは人道的見地に照らし合わせて許されるのですか?と。


■結局
「独立行政法人 労働政策研究・研修機構」が「就職するのが困難な来所者」という資料をインターネット上で公開しています。その中には「吃音」や「発達障害」「コミュニケーションが取り難い」来所者をどうやって見分けているのか書いてあります。

このような研究が行われていて、職員がそう感じているという資料が公開されているなら、一般企業の人事部門でもこのような資料を作成して持っているのではないかと想像してしまいます。


■現在、吃音者は法律上は発達障害者支援法には定義されていますが…
17文科初第16号 厚生労働省発障第0401008号
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0412-1e.html

吃音者は障害者手帳を取得しようと思えばできるはずなのですが。2014年現在、身体障害者手帳4級や精神障害者手帳を取得するために必要な障害者手帳申請用書類を書いてくれる医師は日本全国でごくごく一部です。

吃音症(流暢症・流暢性障害)は、『吃音を改善しましょう、治しましょう』という提案をしてしまう病院や医師が多いのですよね。本来なら社会的障壁があればすぐに障害者手帳発行用書類を書いてもらえれば、障害者雇用という枠も使えるのに。


■最後に
今回の記事に書いたように、企業の採用の門戸はかなり狭いと思います。
世の中には「私は吃音なんて気にしないよ、働こうよ」って言ってくれる優しい人がいます。吃音者の先輩でも「私が働いているところは私が吃っても誰も何も言わないよ。大丈夫だよ」と言ってくれる優しい先輩がいます。でもその人と一緒に働きたいと思っても、企業の入り口である採用段階にて不採用になっているのではないかと思います。もちろんその際「誠に残念ながら貴意にそえない結果」というお祈りをされてしまうので不採用の理由は不明です。吃音者の先輩方、50歳以上くらいかな?の方々が経験した就職活動戦線とは訳が違います。

これらの情報をみても「吃音であることを誇りなさい。堂々と吃音であることを明かして就職しなさい。吃って生活しなさい」と言えるでしょうか?

私は吃音が治ったからお前も治る!
吃音がある私でも良い会社に就職して結婚して子どももいて孫もいる!お前もやればできる!
吃音であることを受け入れろ!吃音を治そうとするな!

本当に本当にこれで、これから生まれてくる次の世代の吃音者達は生活できるでしょうか?
お父さんやお母さん保護者の皆さんはこれでいいですか?
親御さんがよく言う「うちの子どもは障害者じゃない!へんなこと言わないでくれ」という親のエゴで吃音当事者の選択肢を狭めていいのでしょうか?

公的な福祉も選択できるようにしたほうが良いのではないでしょうか?

皆さんはどう思いますか?


2014年10月15日水曜日

【メモ】エルサの特性 〜アナと雪の女王を発達障害という視点から

発達障害のニュースを探していたらヒットしました。

見ながら感じたこと。
それは、エルサの力をエルサ自身がコントロールすることが出来てないということ。
コントロールしようと言う視点で描かれていないこと。
続きはリンク先で。
http://suminotiger.hatenadiary.jp/entry/2014/10/15/112328

2014年10月14日火曜日

独立行政法人 労働政策研究・研修機構がHPで公開している研究成果 > 資料シリーズ > No.123に吃音のことが書かれている。

吃音のことが書かれているのはこの研究の中に資料として添付されているPDFファイルである。

研究の目的はこうだ。詳細はリンク先を確認。

資料シリーズ No.123 平成25年6月28日
若年者就職支援機関における就職困難者支援の実態
―支援機関ヒアリング調査による検討―
概要
研究の目的
若年者就職支援機関において、来所者の中でも特に就職困難に思われるような若年求職者について、その特徴や支援における配慮等について把握し、整理することで、今後の効果的で有効な若年就職支援のあり方を検討する上での基礎資料とすることを目的とする。

研究の方法
若年者就職支援機関として、新卒応援ハローワーク(9機関)と地域若者サポートステーション(12機関)に対しヒアリング調査を実施した。ヒアリング先の選定は、就職困難性に関連した事例を持つ等の実績がある機関を中心に選定した(結果的に都市部中心の選定となった)。

ヒアリング対象者は、日常的に若年の来所者と向き合い、支援を行っている相談担当者(支援者)を中心に各機関に適切な回答者の選定を依頼した。支援の実態を把握している職員であれば、役職や雇用形態は不問とした。1機関で複数の支援者が同時に回答する形式も受け付けた。結果として、新卒応援ハローワークでは全27名、地域若者サポートステーションでは全20名の支援者から回答を得た。

■主な質問項目

来所者の特徴(行動上の特徴、心理的背景等の特徴)、来所経緯
標準的な支援の流れ、支援方針
来所者の適性把握の方法と特徴
就職に時間がかかりそうだと判断される場合、その来所者の特徴や見極め
就職困難なケースの具体例(早期離職した来所者の動向、障害やうつ等の精神疾患が疑われる来所者の動向)
今まで実施した支援の中で印象的だった支援事例(成功事例、失敗事例等)

http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2013/13-123.htm


そしてこの研究の「資料」として添付されているデータである。
そこにたった一個であるが「吃音」という単語がでてくる。
その資料のリンクがこちら。PDFファイルである。
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2013/documents/0123_02.pdf

この中の144ページにて吃音のことが書かれている。
こうである。

(3)利用者のうち特に困難な来所者の見極め
○席に座るまでの間の態度でわかることもある。受付で書類の向きをそろえて出せる人
は良いのだが、カバンからぐしゃぐしゃになった紙を出してくる人や、座ってひじを
ついて話すような人は就職活動に苦戦する。このような人は男性に目立つが、女性に
もいる。

○例えば、コツコツ系の仕事が向いていると思っている男性で、医療事務を希望するケ
ースがある。しかし医療事務の求人は女性が中心であり、夜勤ができる等の条件がな
いとまず男性向けの求人がないことを知らない(資格があれば誰でも就けると思いこ
んでいる)。特に、医療事務系の専門学校に数年通ってしまっている男性だったりする
と、方向の修正がきかない。最終的には、コツコツ系を活かせるような他に合う仕事
を探すことになる。同様に、簿記の資格をもっているので経理の仕事にすぐ就けると
思いこんでいるケースもある(経験がないと採用されにくいことを知らない)。このよ
うなケースでは就職活動に苦戦する。

○就職が難しいのは、希望求人の職種や業種がバラバラな場合である。思いこみが強く、
自分に合わないものを持ってきたりする。過去の応募傾向をみると、この人は就職が
難しそうだなと判断できる場合もある。

○困難性の見極めは五感に頼るとわかることが多い。求職申込書を書くスピード(作業
速度)の遅さ、人と人との間合いの取り方とその時の声の大きさ(近い人同士なのに
不自然に大声で話をする等)、指の細さ、口元のけいれん、吃音が出る、体型など。全
体をみるとわかることがある。

○話しぶりやソーシャルスキルの面で、具体的に会話が成立しない人も苦戦する。

○ハローワークに来ても自分が何をしたくてどのような支援を求めているのかをうまく
伝えられず、一方的にサービスの受け手(お客さん態度)になってしまう人も就職活
動に苦戦する。





さて、この研究資料に書かれているデータは就職を応援してくれる「新卒応援ハローワーク」や「若者サポートステーション」で勤務する職員にヒアリングを行った結果のようだ。その中で「利用者のうち特に困難な来所者の見極め」という、職員が「この来所者はどんなタイプか?健常者?障害者?ボーダーライン?ただ常識がないだけ?マナーを知らないだけ?」といったことはどうやって見極めているかという虎の巻のようにも見える。吃音のことを取り上げたページだけを見るよりも全文を読むとますます、職員の実体験が見えてくる。

その中で吃音のことが紹介されているのである。
就職をバックアップしてくれる国と厚生労働省から委託されて置かれている施設の職員がこのようなものさしを利用して慎重に「来所者」をチェックしているわけである。その困難性の1つに吃音があげられているわけである。

となると筆者はこのように想像してしまった。そもそも若者サポートステーション
http://www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/ys-station/

の職員が「この来所者はどのような人物なのか?」という事を見極めるならば、このようなことを感じているならば、このような来所者にはどうやって対応すればいいのか?マニュアルがあるのかもしれない。

そして通常の企業の人事部門も同様に考えているのではないか?企業の人事部門にもこのようなマニュアルが実は存在しているのではないかと。であるならば吃音者には相当就職活動は不利だと思ったほうがいいのかもしれない。

例えば企業に面接に行った際に「私は吃音がありますが頑張ります!」とか履歴書に明記することや、面接でカミングアウトするのは自ら墓穴を掘っているのかもしれない。

また、今回この独立行政法人 労働政策研究・研修機構の研究を見て感じたことは、どうやら支援が必要な吃音者が存在するということである。セーフティネットも障害者手帳もないまま、新卒応援ハローワークや若者サポートステーションに行ってなんとかしたいと悩んでいる吃音者がいるということであろう。

新卒応援ハローワークや若者サポートステーションは【17文科初第16号 厚生労働省発障第0401008号】を知っているのか?吃音者が来所した場合は障害者手帳が取得できますよ。と教えているのかも気になる所である。


吃音者は今後いったいどうすればいいのか??

東京新聞・中日新聞 『就活に苦しむ吃音者 人物本位で採用して』『就活に苦しむ吃音者 学生らの経験 ネットで公開』 の記事紹介と2ちゃんねる嫌儲板住人の反応

2014年10月13日東京新聞のウェブサイトでこのようなニュースが掲載された。
見出しは異なる。

東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2014101302000163.html

中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2014101302000007.html

【引用】
就活に苦しむ吃音者 学生らの経験 ネットで公開
「吃音カフェ」で、就職活動について、若い社会人(左奥と中央)に経験を聞く吃音の学生ら=名古屋市昭和区で
写真
 言葉が流ちょうに話せない吃音(きつおん)者が就職活動で苦しんでいる。面接でつまずき、国内での就職を諦めて海外に行く人や、不安で就活を始められない人も。専門家は「話す内容や人物全体を評価して」と採用側に理解を呼び掛けている。

 「に、に、に、に、に、に、に、に、にがつ…」

 誕生日の「二月」を言おうとした瞬間、症状が出た。名古屋市内の大学院の男性(23)は九月に同市で開かれた「吃音カフェ」で、数カ月前に受けた大学法人の就職面接を「地獄だった」と振り返った。

 音節を繰り返す「連発」と呼ばれる症状。約二十分の面接で、言葉が詰まって出ない「難発」も。退出時には「ありがとうございました」の、「あ」と「ご」が出ずに口がぱくついた。面接官は「取って食うわけじゃない」と苦笑した。官公庁など五カ所を受験し、すべて不合格。大学卒業時にも挑戦したが、だめだった。今後は海外で働くことを目指すという。

 カフェは吃音者の自助団体「名古屋言友会」が就活中の仲間同士、悩みを語り合おうと初めて開催。学生や若い社会人であふれた。「電話とか顧客の対応とかで、会社に迷惑をかけないか…」。参加した名古屋市の大学四年の女性(22)は、入社後の不安を吐露。広告代理店で働くことが夢だが、卒業を半年後に控えた今も就活に踏み切れない。五月から民間のリハビリ教室に通っている。

 金沢大准教授の小林宏明さん(43)=心身障害学=によると、吃音に悩む学生は会社側に知られると、不利になると考え、面接で症状を出さないことを最優先にすることが多い。このため集団面接などでも思うように発言できず、「積極的ではない」などと評価される恐れがある。氏名や学校名など言い換えの利かない固有名詞やあいさつが苦手で症状が出る吃音者も多く、「緊張に弱い」「うろたえている」などと誤解されるケースも少なくない。

 岐阜大教授の村瀬忍さん(聴覚・言語障害学)は、対策として「会社側に面接前に吃音があると伝えるのも一つの手段」と話す。「隠そうとするから苦しくなる。吃音があっても価値のある自分を訴えることに専念した方がいい」。だが「話すことを重視する職種や理解の進んでいない会社もあるため、慎重に判断するべきだ」との意見もある。

 経験を共有しようと、全国言友会連絡協議会(東京都)は二〇〇三年から会員の就活や就労、アドバイスなどを募ってまとめたデータベースを作成。ホームページ(「吃音」と「職業データベース」で検索)で、約二百七十人の経験を公開している。

 小林さんは「症状と向き合う強さを持った吃音者も多い。話し方だけで判断すれば、有用な人材を逃すリスクもある」と指摘。採用側に「症状が出ても言葉が出てくるまで待ったり、うなずいて聞く姿勢を示すなど、流ちょうに話せないハンディキャップを補ってほしい」と要望する。

 (山本真嗣)

 <吃音> 言語障害の一つで、大半は幼児期に発症。数年で自然消滅することも多く、成人の1%にあるとされるが、原因は不明。対処できる病院も少なく、言語聴覚士や耳鼻咽喉科、心療内科などの医師が、発声法のリハビリや薬物療法など各自の方法で取り組んでいる。22日は「国際吃音啓発の日」。
【引用】


さて、このニュース記事であるが「2ちゃんねるニュース速報嫌儲板」にもこの記事のスレッドが立った。
”に、に、に、に、に、にがつ…む、む、む、む、む、むいか…” 就活に苦しむ吃音者「日本は地獄」 

スレッド消失後のためアーカイブページ
https://archive.today/kcP2V



さてこのスレッドに書き込まれている内容であるが。実に興味深い内容である。
匿名掲示板であるが故に好き勝手に書かれている一方で、これが吃音者ではない健常者の考えなのではないかと思う書き込みを見ることができる。

吃音は甘え。
どもりは可哀想。
吃音は障害者なの?
吃音でも仕事できるの?
私の会社では精神障害者(発達障害)は雇わないよ。
精神障害者は雇用義務化されてないじゃん。
今どき工場のライン作業でも会話はあるよ。
大卒で工場のラインなんか雇われないだろ。
吃音は発達障害なの?
だろ?死ぬしか無いんだよ 。
中途半端な障害。
生活保護はもらえないの?
頑張れば克服できるんでしょ。
上司が吃音者の真似を飲み会でして盛り上がった。
喋れないなら喋れないなりに仕事を選べ。
吃音用の障害者団体はないの?助けてやればいいのに。いっしょに就活してやれよ。
就活で苦労するくらいなら会社入ったらもっと苦労する。
田中角栄も小倉智昭も吃音でしょ。

気になった書き込みをピックアップ。
これはもちろん2ちゃんねるという匿名掲示板の書き込みであるので信ぴょう性については各々の自己責任でよろしくお願い致します。
皆さんはどう思うだろうか?
筆者が気になったのは精神障害者は雇用しないよというこれである。
結局どもりって障害者なの?なんなの?障害者手帳あれば雇用してやるよ。
法定雇用率アップに貢献してくれそう。

発達障害かぁ?アスペと一緒か?ってことは精神障害者手帳か?精神障害者手帳はうちの会社では
現時点では雇用しない。精神障害は雇用義務化されてねーし。
どもりは可哀想だな。身体障害なら雇用できるのにな。 
企業側も吃音者が「障害者」であれば雇用したいようだ。
だがしかし、発達障害=アスペルガー症というイメージがあるようだ。それに精神障害者保健福祉手帳を所持しているということは「精神障害者」である。雇用義務化されるのは2018年からである。

皆さんはこの2ちゃんねるの吃音を扱ったスレッドをどう思う?

2014年10月11日土曜日

NHK連続テレビ小説「マッサン」のマッサンは発達障害者か?

マッサン公式HP
http://www.nhk.or.jp/massan/

【引用】http://www.nhk.or.jp/massan/story/index_01.html
第2週 10月6日〜10月11日
災い転じて福となす
結婚への大反対の中、互いの愛を確かめ合った亀山政春(玉山鉄二)と妻・エリー(シャーロット・ケイト・フォックス)は広島を発つことを決意する。母・早苗(泉ピン子)から菜箸を受け取ったエリーは、いつか二人の結婚を認めてもらおうと強く誓い大阪へと旅立つのだった。その車中、名前が呼びづらいと政春を「マッサン」と呼ぶことにするエリー。二年ぶりの職場・住吉酒造を訪れると、社長・田中大作(西川きよし)をはじめ社員たちは大歓迎。そこで運命の男・鴨居欣次郎(堤真一)との出会いも果たす。しかし、エリーとの結婚を告げると状況は一変。なんと大作は政春を娘・優子(相武紗季)の婿にと考えていたのだ。寝耳に水の政春に困惑するエリー。政春が帰国した暁には婿に迎えるつもりで留学させたと告げる大作であったが、政春は全く気が付いていなかったのだ。 誤解を解こうとするも、二年間必死に花嫁修業に打ち込んできた優子には理解されず、結婚を白紙にする代わりに会社を辞めるよう宣告されてしまう。優子の怒りの中にマッサンへの密かな恋心をみたエリーは、何とか結婚を認めてもらおうと奮闘するが、逆に優子のいじめがはじまって・・・。


●注意:役者のセリフについては正確に覚えてはいません。

この第2週の放送内容だが。
簡単に説明すると、マッサンがウイスキー留学を終えて日本に帰国して、留学させてくれた職場に妻のエリー同伴で2年ぶりに訪れる。そしてそこで、職場の皆さんに「結婚しました」って報告をする。するとどうだろう。住吉酒造社長夫妻とその娘はびっくり仰天。マッサンは住吉酒造の田中家に婿入りするはずだったのだ。

なぜこのような大事件になっているのか?
第2週の放送内容ではこのような背景がある。

・ウイスキー留学前に
「ぜんぶまかせたぞ」と田中社長に言われたマッサン。そこには娘の優子もいた。

・そして回想シーンで、優子がマッサンに「子どもは好きですか?子どもは何人ほしいですか?」というようマッサンに問いかけながらに町中を歩くシーンが流れる。マッサンは「野球チームをつくりたい!」と回答します。

普通この会話は定型発達者(健常者)からすると、この人と結婚するだろうと想像するそうだ。もしくはこんな子どもがほしいですか?なんて質問を女性からしてくるなんてすごい親密だなぁと思わなければいけないそうだ。定型発達者からすると女性のほうから「何人子どもがほしい」と言われるなんて結婚前提だと認識するそうだ。

・それにそもそも、働いている職場の社長に、会社のお金で留学させてもらうという背景もある。
通常このような条件であれば、留学費用は社長からすれば弊社の未来への投資でもあるし、せっかくその知識と技術がある社員が流出しないようにするため自分の娘と結婚させて、企業の繁栄も視野にいれるのも自然の流れだろう。


実際にマッサンの第2週を逐一チェックしている人は、ここまで結婚をするだろうというフラグが立っているのになぜマッサンはエリーと結婚したのか不思議だろう。

私はこれが「発達障害者」の世界だと考える。
NHKのドラマのシナリオでは「マッサンの誤解」と説明されているが。誤解ではない。本当に結婚するとは知らなかったのだ。

私自身もそうだが、具体的に言われないとわからないのである。
例えば、職場で「これ時間あったらやっておいて」というのは定型発達者(健常者)からすれば「夕方までにはやっておいて」という意味らしい。私も激怒された経験がある。もちろん発達障害だから上司に反論して「なぜ、ちゃんと時間を指定しないのですか?」と喧嘩になるのは想像に難くない。

発達障害者からすれば「今日は時間がなかったのでやりませんでした!」と回答するでしょう。これが俗にいう発達障害者が空気が読めないというやつです。言葉の本当の意味、裏の意味を理解していない。その言葉のまま100%受け取るというものです。その際の相手の表情や声の抑揚も特に気にしません。

発達障害者に仕事を指示する場合は明確に「2014年10月11日の何時何分までにやっておいてください。できますか?」という具合に指示しないといけないのです。


■これをマッサンにあてはめて説明するには
田中社長が
「キミには弊社の命運をかけて未来への投資として会社が留学費用をだす!そのかわりに帰国したら私の娘と結婚して、会社を継いでくれ!そしてウイスキーを日本中に広めてくれ!キミを日本中の誰よりもできる男だと信じている!会社の命運と従業員の生活と優子のこと。よろしくぜんぶ頼んだぞ。」と言わないといけないのだ。



最近は「大人の発達障害」「大人になって気づく発達障害」という内容をあつかったニュースや新聞記事や雑誌記事があります。あの人ちょっと変だな。なぜ空気が読めないのか。「私の職場にもいる!!」と思い当たる節がある人もいるかなと思います。マッサンの場合は結婚問題でしたが、これが仕事の問題となったらどうでしょう。会社に大損害を与えることもあるかもしれません。発達障害者の特性を理解しないといけません。

NHKのよくある質問に
「マッサン」の原作はありません。脚本家・羽原大介さんのオリジナル作品です。
http://www.nhk.or.jp/massan/faq/index.html

と書いてあるけど、この脚本家さんは発達障害のことを理解して脚本を書いているのかどうか気になりますね。ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝がモデルとのことですが竹鶴さんは発達障害のような特性があったのでしょうか?それともドラマの演出としてこうなっているのでしょうか?最近NHKでは発達障害の啓発啓蒙番組を定期的に放送しているので「マッサン」という連続テレビ小説でも発達障害エピソードを脚本にいれてくださいと言われているのかもしれません。

2014年10月8日水曜日

【告知】第2回成人吃音の臨床研修会 大阪府大阪市

日本・吃音流暢性障害学会のホームページより引用
(お問い合わせはリンクから確認してください)

名称第2回成人吃音の臨床研修会
主催NPO法人全国言友会連絡協議会
開催日時2014年12月7日(日)10:30~16:30
会場KOKOPLAZA・青少年センター(大阪府大阪市東淀川区東中島1丁目13-13)
講師吉澤健太郎氏(言語聴覚士、北里大学東病院リハビリテーション部)
概要当会は吃音者のセルフヘルプ・グループとして吃音児やその保護者、吃音者を支援する活動や、吃音に関する啓発活動を全国で行っております。今年度からは、吃音臨床に携わる、または関心のある言語聴覚士の研修の場を全国各地で開催することを企画し、中高生以上の吃音の相談を受けてくれる臨床家の方を増やしたい。そして、吃音者のセルフヘルプ・グループとして、そういった臨床家の方々に私たちの体験についても知っていただき、ネットワークを作っていきたい。そのような思いから研修会を企画いたしました。多くの臨床家の方々にお集まりいただけることを願っております。
申込み方法
参加費5,000円(ST養成校学生,1,500円)

【告知】吃音ワークショップ2014 in愛知

日本・吃音流暢性障害学会のホームページより引用
(お問い合わせはリンクから確認してください)
http://www.jssfd.org/other_meeting.html

名称吃音ワークショップ2014 in愛知
主催NPO法人全国言友会連絡協議会・名古屋言友会
開催日時2014年11月1日〜3日(土〜月)
会場あいち健康プラザ(愛知県知多郡東浦町大字森岡字源吾山1-1
概要概要 本大会では3日間のプログラムを通して、吃音当事者の交流を図るとともに、さまざまな視点から参加者自らが吃音について考えます。 メイン講演では松田真奈美氏(吃音サポート「ジークフリーツ」代表)、吉澤健太郎氏(北里大学東病院言語聴覚士)、飯村大智氏(うぃーすたプロジェクト代表)、南孝輔氏(全国言友会連絡協議会理事長)の4名をパネリストとしてお招きし、吃音者の社会的支援について議論を交わします。詳細は「吃音ワークショップ2014 in愛知」のホームページをご覧ください。
申込み方法
参加費29,000円(全日程・一般),25,000円(全日程・学生)

【告知】吃音研究と臨床の講演会-エフド・ヤイリ博士を招いて

日本・吃音流暢性障害学会のホームページより引用
(お問い合わせはリンクから確認してください)
http://www.jssfd.org/other_meeting.html
名称吃音研究と臨床の講演会-エフド・ヤイリ博士を招いて-
主催新潟リハビリテーション大学,福岡教育大学付属特別支援教育センター・同特別支援教育講座,
科学研究費補助金(課題番号:23320083,代表:氏平明)
後援広島県言語聴覚士会、国立大学法人障害児教育関連センター連絡協議会
講師エフド・ヤイリ氏(イリノイ大学・テルアビブ大学名誉教授)
開催日時・会場2014年11月1日(土)朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター
2014年11月3日(月)国立障害者リハビリテーションセンター学院
2014年11月4日(火)福岡教育大学
概要Research and Clinical Advancements in Stuttering(吃音の研究と臨床の進歩について)という演題でヤイリ先生が発表されます。エフド・ヤイリ先生は、幼児吃音に関する一連のご研究や吃音の遺伝に関するご研究で世界的に著名な研究者です。2005年にも一度来日されたことがありますが、今回のご講演では吃音に関する基礎研究や臨床研究における近年の知見についてご紹介いただけることと思います。詳細はこちらよりご覧ください。
申し込み方法事前申込み不要です
お問い合わせ先
参加費無料

2014年10月4日土曜日

なぜ吃音者は当事者同士で対立するのか?協力できないのか?

なぜ吃音者は当事者同士で対立するのか?シリーズ 第2回です。

前回こちらの記事を書いた。
なぜ吃音者は当事者同士で対立するのか?障害者はかわいそうな存在なのか?
http://stutteringperson.blogspot.jp/2014/08/blog-post_11.html


今回はこの続きである。


なぜ吃音者は当事者同士で協力できないのか?なぜだろう?
私なりに考えた結果は「吃音者は考えた方、主義思想が違うとすぐに分裂すること」である。
本来ならば、政治の政党内派閥や企業内の派閥のように「親中派」「親米派」「親露派」「右派」「左派」といった具合に、主義思想は違えども同じグループに属して、「今はA案でプロジェクト進行だけど、今後はB案やC案も裏で動かしておいたほうがいいな」くらいがよかったのだ。

それが残念なことに吃音者は主義思想が異なるとすぐに分裂して新しいグループを作ってしまう。
一度分裂してしまえばその主義思想は「教典」となりそれを目指し、それを守るためのグループになってしまう。いざ大きな決断を迫られても吃音者同士お互いに協力することはできないのだ。

この吃音者たち先輩の行ってきたことの弊害が2014年現在に大きく影響していると思う。
吃音者の当事者団体は、一枚岩ではない。背後から鉄砲が飛んでくる。カオスである。
タイムマシンがあれば是非ともこれを防ぎたいものである。
今後は吃音者が考え方の違いで分裂することが起こらないことを祈る。
どうしても分裂しそうになったら外部の吃音者も呼んで話し合いをすべきである。


私は他の障害者団体や社会的障壁がある人のグループはどうなっているのか全く知らない。というのかそれを質問していいのかどうか?という心配もある。


吃音者といえば毎度おなじみのWikipediaの吃音の項目に書かれているように
「吃音者間の治療観の相違」がある。
↓これだ。

吃音者内で吃音に対する考え方の違いから対立が起こることがある。 吃音者には些細なことを容認できない人もあり、相手の考えや症状を尊重しないで、一方的に自己の主張を押し付けることによって生じることが多い。 現時点では、吃音に正解はない、ということを吃音者自身が自覚することが大切であろう。

大きく分けて、「吃音を治したい」とする考えと、「吃音は治さないで受け入れるべきだ」という考えがあり、両者に相違がある。
「吃音を恥ずかしいと思う吃音者」と、「吃音を比較的恥ずかしいと思わない吃音者」がいる。後者は吃音自助グループなどに参加したりする。前者の「もの言わぬ吃音者」は鬱(うつ)や神経症の傾向が強く、積極的になれない傾向があり、自助グループなどには参加しない、できない傾向がある。「もの言わぬ吃音者」は人前でスピーチしたりするのを酷なことと感じる。

「吃音は努力すれば良くなる」とする主張と、「努力では良くならない」とする主張がある。前者の中には吃音を克服するために、あえて言葉を話す職業に就く人もいる。後者の中には、なるべく話さない職業に就く人がいる。これは努力をするかしないかではなく、その人の性格や考え方の違いである。しかし、時として前者には努力万能主義を信じて他人に努力を強要する根性論が見受けられる場合がある。因みに、喋る仕事に就いている小倉智昭や西部邁[25]らは、まだ、吃音は治っていないとカミングアウトしている。ただ、「努力では良くならない」と言う主張では、治った人がいることを説明できない。なぜ治ったかを研究することは大切である。

吃音が治った人がいても、それはその人が治っただけで万人に有効な手段とはいえない。成功者は自分が成功したからと、他人に自分の考えを押し付けて説教をする傾向が見受けられる。また、吃音矯正所を開設してしまったり、カウンセリングの知識がないのにカウンセリングをしてしまう者もいる。

「症状が軽い者」と、「症状が重い者」の間で対立が起こることがある。症状が軽い者の中には、大して気にしていない者もいる。症状が重い方は重大に感じる。これは症状が軽度の者が、重度の者の症状が分からず、自分の症状だけで吃音について判断してしまうことなどに起因する対立である。

プラス思考者とマイナス思考者間での対立がある。プラス思考者は吃音でも気にしないでやっていこうと考える。マイナス思考者は吃音があるから出来ないと考える。ここでもプラス思考者がマイナス思考者に考えを押し付ける(説教する)傾向があるが、マイナス思考に陥ったのはそれなりの理由がある。その理由を分ろうとはせず、考えを一方的に押し付けることで対立が生じる。
吃音者によって、吃音の症状の軽重・これまでの経験・本人の性格・周囲の理解度・住んでいる地域・就いている職業や取り巻く状況が、人それぞれなので悩みの深刻さも様々である。

ここまで引用



現在、筆者の考えるところの吃音者の派閥はこの3つだろうと思う。
1.「できることなら吃音を治したい」
2.「吃音のままで堂々と吃りまくり生活をしろ」
3.「吃音も公的な社会福祉があってもいいのではないか?」

1と2については、一応生活ができている人が多いだろう。
1なら吃音を自分なりに編み出した手法でなんとか隠しながら生活してるかもしれない。
2なら堂々と吃りまくって、私は吃音者です。と生活しているだろう。

3は吃音の社会的障壁に何度も何度も直面し、吃音以外に二次障害も発症して、育ってきた環境やいじめを受けることにより学校で勉強する機会を奪われ、勉強も満足にできないまま大人になりニートやひきこもりになっているかもしれない。



さて、1と2に共通することがある。なんだと思うか?
それは「吃音者は病気や障害じゃない、そんな風に扱われるのは心外だ」という思想である。
なぜかというと病気や障害であると啓発啓蒙されて世間に「君って吃音なんでしょ?病院行きなよ。障害者手帳取れるんじゃない?」なんて言われることは絶対に避けたいのである。

しかし、3は公的な社会福祉を受けるためには吃音とは病気や障害であると認めなければならない。そして、このような「合理的配慮」があれば社会に参加できます。助けてくださいと願うわけだ。

2011年ころからこの3番の吃音者にも公的な社会福祉を求める動きがやっとでてきた。
私はこの3番をなんとか実現したい。無論これを推進すれば、不都合もでてくるであろう。俗にいう発達障害者が直面することが吃音者も直面する。もしも、一般枠で企業に採用されて働いていたのに「ねぇ。あんたさぁ。その喋り方って吃音って言うんだろ。マスコミが報道してたぜ。病院行けよ」と企業の人事部から言われたらどうなるだろうか?

これは現在一部の発達障害者でも実際に発生している問題である。「就業規則に会社が指示する場合は病院にいかなければならない」そして病院で発達障害が判明すればどうなるか?出世コースから外れるかもしれない、定期昇給がなくなるかもしれない、賞与が減額されるかもしれない。無理やり障害者雇用にされてしまうかもしれない。いや、配置転換の繰り返しで、合法解雇と言われる普通解雇「職務を遂行するにあたって著しく能力不足」という伝家の宝刀が使われるかもしれない。とりあえず不穏な空気を感じたらICレコーダーを日々忘れずに持ち歩くことである。



このようなデメリットは発生することはわかっていても。私は3番をまず実現して、なんとか最低限のスタートライン、機会を使えるようにしたいのである。吃音を苦にして自殺することがないように。人生を悲観することのないようにである。もちろんそのためには1と2の考えをもった吃音者にも何とかして協力してほしい。今後発生する問題については吃音以外の社会的障壁がある人たちと協力して世の中を変化させていくしかない。

吃音者は言語聴覚士を目指すべきか?












さて、この情報はどう受け取るべきか?
私はこれは正解に近いと思う。
世の中はハッキリ言って厳しい。特に2014現在はそう感じる。
医療現場の職業にかかわらず全てに当てはまると思う。
吃音者が働けるではないか?と思う肉体労働も現在はチームプレイである。安全確認も声出しもしないとならないし、社訓などの読み上げ、出世すれば他人に指示をだす立場にもなる。サービス業の業界もマニュアル化が徹底されており、何を喋ればいいのか決めてある。吃音者は言い換えは駆使できない。あのーとか、えーっと、なんて使えない。例えばコンビニエンスストアの店員やファミリーレストランの店員やファーストフードの店員が「いらっしゃいませ」が普通に発話できなければどうなるだろうか?想像してみてほしい。もしも携帯電話ショップの店員が吃りだったらどうする?こっちは早く済ませたいのに時間がかかる。


例えばトヨタ生産方式というのがあって「ムダ ムリ ムラ」は徹底的に排除する。
その中に「動作のムダ」がある。
吃音者が他人とコミュニケーションをとるときに吃ってしまい、動作のムダが起こったとする。不用意な動き、これは吃音者にとって致命的である。非吃音者が5秒でホウレンソウが完了するところを吃音者が1分も経過する。それを年間で換算すれば、吃音者を採用すると思うか?私が人事部門なら採用しない。
そしてこの動作のムダが、自動車業界以外にも到達してきた。コミュニケーション社会と言われるそれだ。空気を読み他人との協調性を重要視する。そこにプラス、スムーズな発話ができない、できても時間がかかってしまう吃音者が入り込めるか?企業の人事部門は「普通」の人材を採用する。悲しいがこれが現実でありお察しくださいである。


以前にも吃音Q&Aで書いたが。吃音を持つ子どもの親御さん・保護者が「吃音を持った我が子が将来就職できるでしょうか?結婚できるでしょうか?」と質問するのは親御さんやその家族親戚が「自分の働いている会社の人事部門が吃りを採用しない」と実は知っているからだ。それでも「我が子は大丈夫でしょうか?」と心配になってしまうのだ。


これくらいにしておこう。
本題に戻る。



ツイートの中でも書かれているが吃音のある医師や看護師や理学療法士や作業療法士や医療ソーシャルワーカー、臨床心理士も「発話ができない、会話が難しい」人はなることは難しいと思う。
医療現場での1秒のロスというのは致命的である。吃る人はホウレンソウに1分も時間を費やすが、吃らない人は15秒で済む。企業の人事部門の人間がこのような人材を採用するだろうか?と思うわけである。もちろんこれ以外にも、自衛隊や警察官、消防士、アナウンサーも難しいだろう。

※医師や看護師については救急救命の現場でなければなんとかなるかもしれない。

はっきり言って吃音者には「見えない欠格条項」が存在していると私は感じている。
発話できない人間、会話できない人間。それはもう採用価値はないのだ。しかも発話することに難があるのに障害者手帳も持っていない。障害者手帳すら持っていない「配慮が必要な人材」を雇用するであろうか?

今後は以上のことも考え吃音の啓発啓蒙を行っていかないとならないと思う。


個人的には吃音者は言語聴覚士を目指すより、理系の勉強に時間を費やして、研究をする道を目指したほうがいいと思う。俗に言う、「医師や学者や教授は変人が多い」ということでこの業界は狙い目かもしれない。この業界は発達障害者が多いとも暗黙の了解で言われているのもあるが。

私としては自分自身が吃音者だからという理由で言語聴覚士を目指すよりも、もっと本格的に研究ができる研究者側を目指すべきではないかと思う。研究医や理工学系の道に進み脳研究を行うほうがいいのではないかと。研究により吃音のメカニズム解明や治療法ができればノーベル医学賞にも選ばれるかもしれない。

非吃音者が吃音者を見た時の感想


そう、これが現実。